四十而不惑、今は、アラフォー而不調

丸山 悦子 

2010年09月14日 19:56

<こころと体の変化点>
私は若い時、論語の中の、四十にして惑わず(四十而不惑)、五十にして天命を知る(五十而知天命)のところに憧れました。

「あなたぐらいョ、歳をとりたいなんて思っているのは」と、言われたものです。

ところがどうも現実は、違っていました。

かなりの方が体調の変化に戸惑っている、ことが分かりました。

孔子は、哲学に一心で、身体の変調など気にならなかったのでしょうか。

いいえ、古来よりヒトの生物学的適応力は変わっていませんから、きっと、現代の大量消費、大量生産の社会構造が、精神的にまた肉体的に、負荷となっているに違いありません。

<天下の分かれ目は40歳>
男女の性差は、生後早期に、脳が、自らの生殖器で産生する性ホルモンに曝されることによって、生じるのです。脳神経細胞の情報伝達や神経ネットワークは、性ホルモンによって大きな影響を受けます。

図はヒトが40歳を境に、性ホルモンのレべルが著しく低下することを示しています。

脳の視床下部(8月21日、脳の図)が性ホルモンのレベルを調節します。

ところが女性ホルモンを出す卵巣の機能は、加齢によって低下しますので、視床下部はそのホルモンを出すよう指令を出し続けます。

やがて、頑張りすぎて不調となった視床下部では、そこはまた自律神経系(交感神経系と副交感神経系)の中枢でもありますので、そちらの機能も乱れてしまうのです。

女性ホルモンのレベルの変動は激しいので、ひとによってバランスの崩れ方も異なり、更年期障害は千差万別の症状となります。

しかし、より早い身体的、精神的なケアによって、かなり緩和される、とのことです。

<ホルモンとホルモンの凌ぎ合い> 
生体はその状態を一定に保つべく、ホルモンレベルはフィードバック制御されています。

体内ホルモンが正常であれば、心身ともに快適な生活が送れます。

不規則な生活、時間に追われた生活では、気温や明るさに応じて分泌が変動するホルモン産生が乱れ、また副腎からはストレスホルモンが過剰に分泌され、脳機能や免疫機能の働きが損なわれます。

現代人はとにかく日頃に、自分でしっかりと健康管理を行い、ホルモンを放るもの、にしないことが大切ですね。

<性ホルモンと脳機能そして生物の存続について>
各ホルモンは、ターゲットとする組織の細胞にある受容体蛋白質に結合して、外界の情報を細胞内に伝え、そこに必要な蛋白質の合成スイッチをオンにします。

性ホルモン受容体は、神経細胞のシナプスの膜上にもあって、記憶などのヒトの高次機能に影響します。 

怖いことに、この受容体に結合してしまう、構造が類似した、外来性の物質が沢山あることがわかりました。

外因性内分泌撹乱化学物質、いわゆる環境ホルモンと呼ばれる一連の化学物質(農薬、医薬品、ビニール、合成洗剤、防腐剤などから)で、代表的なものは、発がん性や生殖毒性が極めて強いPCBやダイオキシン類です。

それらの垂れ流しは、ヒトの神経機能や内分泌系に悪影響するばかりでなく、動植物の生殖システムにも大きな影響を与えます。
なぜなら、それらの分子は脂肪組織に蓄積しやすく、また分解されにくいため、食物連鎖によって濃縮されていくからです。

今なお、この人為的汚染の処置は大きな生物学的社会課題です。


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