<花の命はーー>
厳しかった猛暑の日々を振り返ってみますと、誰よりも元気だった百日紅が思い出されます。
七月から、どこの街路も、白、桃、深紅の花が目いっぱい賑わっていました。
何とまだ咲き続いていますので、今年は、東京で100日がクリアー、です。
百日紅は幹がすべすべなので日本では、さるすべり、と読みます、が、中国では、恋人の帰りを100日間もたたずんで待った場所に、何と100日間、花が咲き続いた、として名付けられたそうです。
どんな花も、いつも、余りにひたむきなので思わず足を止めます。
そして、それが乗り越えた冬の日々に想いを馳せてしまいます。
<生と死の狭間で>
亀の寿命は百年ぐらい、とか。
もっと下等動物で、長くても数百年。
しかし、植物なら屋久島の杉が数千年、と凄いです。
ヒトの寿命は江戸時代が50歳、今は85歳、やがて130歳。
食べ物、運動など環境が整えば150歳以上も可能とのこと。
やっぱり、嬉しいことですね~
体の中を見れば、赤血球は120日、腸の上皮細胞は3-5日、胃は18時間程度で細胞は生まれ変わっています。
まさに生々流転です。
でも、みんな同調していますので体を少し変えてみよう、と思ったら石の上にも3年かな、と私は思います。
エェッ、手っ取り早い薬に頼りたい?
分化しきった神経細胞と心筋細胞を除いて、正常な細胞はあるところで分裂を停止して、死にます。
ところが、何かの引金によってその箍(たが)が外れてしまったのが、がん細胞です。
ガン治療や未来(無限)の命のためには、生き返りの機構(細胞蘇生)や生まれ変わる機構(細胞分裂と増殖)の研究が重要ですね。
<ラインを振り返り、そして、ラインを引こう>
単細胞から機能分化した多細胞体はやがて有利な形質を残しながら、複雑な機能をもつ高等生物へと進化しました。
私達、現生人類は15-20万年前にアフリカで誕生しました。
右図にその歴史の概要を描いて見ました。
私達は、長い世代交代によって獲得した形質を蓄積・係累して、ついに、知性あるもの(サピエンス)になれたのです。
ところが個人の歴史では、新陳代謝して細胞が分裂増殖するとき、悲しいことに、全く同じ細胞を生じることが出来ません。
そのたびにエラーを増してしまうのです。
そして修復や防御をしきれなくなると、遂に生命の存続が断たれます。
ですから、「働きバチ」となって、新陳代謝を激しくして、過度に細胞の生まれ変わりを促進するのは考えものなのです。
この頃よく耳にするスローライフの意味する所は、超長寿を目指す、副交感神経型社会への礼賛、ということですね。
私達は、何処から来て、何処へ行く、のでしょうか、ふと立ち止まった秋の夜長でした。