モバイルDNAで遺伝子治療をする
<ジャンク(がらくた)遺伝子はジャンクでなかった!>
モバイルphoneよりずっと大切なのがモバイルDNAです~
私たちの身体を作っているのは主に蛋白質です。その蛋白質をコードしないDNA配列は、いわゆるジャンク遺伝子といわれます。哺乳類ではゲノムの~97%も占めています。大腸菌では10%くらい。
注目すべきはそのジャンク遺伝子が脳において‘動く遺伝子’として沢山複製されていたことです。
どうやら私たちはジャンク遺伝子を使って進化の過程で環境に適応すべく高次機能を持つ脳を獲得したり、さらにまた個性発現のための多様な神経細胞を作るためにこの非コード化遺伝子を移動させたり増やしたりして利用してきた、ようなのです(
参考)。
双子が成育環境によって違ってくる理由も‘動く遺伝子’で説明されるかもしれません(図、左下)。
なぜなら運動や勉強が‘動く遺伝子’の活動を刺激して、脳内ネットワークの構築が変わることがあり得るからです。
この動くDNAはゲノムへの挿入の仕方によってトランスポゾンとレトロトランスポゾンに分けられます。
トランスポゾンはいわゆるカット&ペーストをして他の場所に挿入されるのに対して、レトロトランスポゾンはコピー&ペースト型の複製をします(図、右上)。
この挿入を見てウイルスみたい、と思った方もおられますね。そうです、RNA型ウイルスはレトロウイルスといって逆転写酵素を持っていてRNAからDNAにしてから宿主のゲノムDNAに入り込みます。
もしかしてウイルスは動く遺伝子がゲノムからちょん切れて細胞外に出てきたの?
私のゲノムはウイルスと共生しているの?
はたまた私の脳はウイルスに乗っ取られているの?・・・・
やっぱり・・
ところで、この‘動く遺伝子’を染色法による顕微鏡観察によって、はるか半世紀以上も前に見つけた人がいます。マクリントック(1902-1992,米国)です。
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