男・女の脳の違いは~

丸山 悦子 

2013年02月22日 22:19

<ボクは、教わらないことが出来たョ>
エスカレーターで2歳くらいの男児が足を出せないで困っています。赤ちゃんを抱きかかえたお母さんはもう下についてしまいました。心配そうに見上げています。

女の子なら、私なら、お母さんに逆に上がってくるようにわめくか、パニくるかでしょう。

彼はじっと足元の動きをみつめています。しかしどうしたって、一歩が出ません。

私が抱えないとダメかな、と思いながら近づいたとき、そのとき、

彼の脳はひとの気配を後ろに感じて猛烈にフル回転、その一瞬、身体と協調した神経回路によって思わぬ行動決起が!!!

ストン、と足を前に出して座ったのです。まさに思考を超えたとっさのひらめきの動作でした。

すると次は自ずと足が折れて、まさに椅子にお座りとなりました。私は思わず、アッタマ、イイ!と拍手喝采しそうになってしまいました。

動く椅子は、それはそれは気持ち良さそうです。さりとて、来なくても良いのに終点は刻々と近づいてきます。

のんびりしている場合ではありませんョ!

つんのめるのかな、大怪我にはならないだろうな、でも泣くだろうな、などいろいろと脳内をグルグル。

私は先端を指差して「Watch!」と坊やに囁きました。その子はどうしたと思います?

スっと立ち上がって、先端を凝視したかと思うとその子はポーンと前に跳んだのです。

バシッ、両足着地に成功、やった~。

快楽の神経伝達分子であるドパミンが彼の脳に溢れました、全身が満身?の笑みです。

新たな成功体験の神経回路が彼の脳に刻まれました。

お母さんが「良かったね」「ありがとうございました」と言って赤チャンは片手にして坊やと手をつないで去っていきました。

私は彼の着地点をみて、小さいのに随分遠くまで跳べたなあと思ったのでした。

ニュートンによる慣性系の運動の法則によれば垂直に飛び上がるだけでよかったのかも・・(図、左上②)。
エスカレーターの分速を毎分30mとすると垂直に0.5~1秒間飛び上がっていれば自ずと25~50cm先に着地出来るはず・・・・
思う以上に遠くに着地出来たわけも(①)、後ろに身体が残る下りエスカレーターの怖さも慣性の原理によるのですね。

それにしても、教わったことさえも思うようにならないのが脳です。

初めてなのに、計算尽くされたかのように行動がとれた彼の脳にどのような仕組みがあったのでしょうか、いったいその場所はどこなのでしょう。

<運動の開始と終了をプランニングする脳>
ヒトがほかの動物と違うところは大脳の発達であり、特に大脳新皮質の前頭前野が理性と高度な認知力を司るヒトの人間たるところ、と教わりました。

男女の脳については、ものごころがついたときから女の子はお人形の着せ替え、男の子は動くもので遊ぶ、という違いがあるそうです。

坊やの行動は、身体座標を繰る潜在能力というのでしょうか、その無意識の咄嗟の身体判断には今までのいろいろな遊び体験が活用されたのに違いありません。

ところで宇宙に行ける時代になったのにヒトの高次機能の脳地図も男女の脳における構造の違いも未知です。

近年、サルの実験などにより、頭頂葉(図、左下)が空間感覚と視覚情報を統合して指示決定をして、運動経験から無意識の行動が取れるようにする部位、と考えられるようになりました。
そこにはミラーニューロン(本ブログ)もあるともいわれ、その訓練や発達によってひらめきの動作が磨かれるようです。

坊やの脳はその辺がきっと鍛えられていたのでしょう。

実は、最近アインシュタインもこの頭頂葉が他の人より発達していたことがわかりました。

アインシュタインが1955年に亡くなった時の脳の新たな写真が見つかったのです。シワが深く広がっているという特徴が前頭前野と頭頂葉の後方に位置する下頭頂小葉で明らかだったのです(参考)。

そこは思考実験のモデル化や文の意味の理解、数学や空間予測に関する認知に関する部位と考えられています。

天才の中の天才と言われるアインシュタインの脳におけるこの新知見は、まさにFalk博士の眼力という人間ワザの賜物です。

そういえばあの坊やの顔はどんなだったかな、こんなだったかな~

<浦島太郎を説明するアインシュタイン>
浦島太郎が歳をとらなかったのはどうしてだったのでしょう。どのような乗り物で竜宮城に行ったのでしょう。
アインシュタインは、静止系と運動系の座標系において光速度不変を認めるなら(図、右上: A,Bが同時に光を発してBは速度vで移動するが速度が変わらない光をB‘で見ることが出来る)、時間が変わると考えたらつじつまが合う、とひらめきました。一般相対性理論です。

では浦島太郎はどの位の速度で竜宮城に行ったのでしょう。エクセルで簡単に計算できます。

もし光速(30万km/sec)の0.999倍で行ったとすると浦島太郎の一年は、待っていたひとの二十二年となります(図、右下)。
いったい、この光速の0.999倍は可能なのでしょうか。現在では最も早い探査機(~15km/sec)でも光速のたったの20000分の1のくらいのようです。計算結果からは(表のセルのC4)時間の遅れはなきに等しいです。
有人ロケットの速度はさらにずっと遅いので時間の変化は極めて小さいものとなり、ニュートン力学の世界で済みそうです。
量子の世界となるとアインシュタインの理論を越えた理論が必要かもしれません。

<オバマ大統領の‘脳地図’プロジェクト>
宇宙開発の次は脳開発?です!!
先日オバマ大統領が宇宙開発競争に匹敵すべく「脳の活動地図」の研究に投資したい旨の政策内容のニュースが報じられました。

その案は10年計画で30億ドルです。

どのような思いもよらぬことが出てくるかと今からワクワクです。

構造よりは分子マップによる脳情報の変化が時空間的に得られるかもしれません。

そして自分の脳地図を画き替え、修正もできるようになりましょうか・・・・・

やはり、脳障害者の治療や適切なリハビリの方法、そして脳の仕組みを利用した自律型ロボットの研究開発が進んで欲しいですね。


“胡蝶の舞”

新年になると庭先では“胡蝶の舞”の先端がほんのりしてきます。

グラスに挿しておくと根がモジャモジャ出てきて何ヶ月もピンク色の葉を愛でることが出来ます。

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