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2011年10月22日

ジャンプ!!分子が決める飛躍力

ジャンプ!!分子が決める飛躍力<ケロちゃんに靴を取られて大慌て!>
玄関に何と4cmほどの小さい蛙がーーー
廊下に這い上がろうとして何度でも必死に跳びます。でも届かず手足を伸ばしたままひっくりカエル。15cmは必要なのでした~
それでもメゲナイ、メゲナイ
まさにど根性ガエルですね?

それにしてもシワッぽくて骨皮 筋衛門さん、この間の台風以来、我が家に緊急避難していたのかもしれません。
玄関ドアを開けても考えあぐねていてなかなか出て行かないのでした。

実は今朝、庭でこのケロちゃんはもっとびっくりなことをーーーいずれまた!

さて、この連続ジャンプ力のエネルギーは細い手足でどのように作るのでしょうか。

ジャンプ!!分子が決める飛躍力<筋肉は超高性能エンジン、ガソリンはATP>
筋収縮の直接のエネルギー源はアデノシン3リン酸(ATP)(図、右上)です。
1918年ドイツの生化学者マイヤーホフは、カエルの筋肉を使って乳酸(図、左)の発生が収縮のエネルギーを供給する、とする「乳酸学説」を提唱し1922年ノーベル生理・医学賞を受賞しました。

ところが真実は、ATPのリン酸結合に蓄えられていたエネルギーが筋肉収縮のエネルギーだったのです。

筋収縮運動は骨格筋細胞内のミオシンとアクチンという蛋白質の繊維同士の滑りによって起こります。

ではなぜ筋肉はATPの化学結合エネルギーを使えるのでしょうか。

はるか後にわかったことですがミオシンはATPの分解酵素活性を持つのでATPを水解して得たエネルギーで自身の構造変化を起こすことが出来るのです。

そのATP分解酵素(ATPアーゼ)は神経からの信号がくると活性化されます。

すなわち神経筋接合部において、神経から放出された神経伝達物質であるアセチルコリンが筋肉側にあるアセチルコリン受容体に結合すると筋肉細胞内のカルシウムイオン濃度が増大して細胞内ミオシン蛋白質の酵素が活性化されるのです。

<時に応じてガソリンの供給の仕方は異なる!>
短距離と長距離を走る時ではATPの産生経路が異なります。
15秒くらいまでは細胞質にあるクレアチンリン酸によってATPが供給され、そのあと30秒くらいはグリコーゲンの分解系でATPが供給されます。
10分以上の運動となるとミトコンドリアで血液からの酸素を使って多量のATPが供給されるようになります(図)。

かくして図の点線囲みのように無酸素系で2つと有酸素系によって筋収縮のエネルギーと熱エネルギーが得られます。
きっと、スポーツ選手はこれらの仕組みをうまく使い分けた強化訓練プログラムをこなすのでしょうね。

ところで最近、体温が低過ぎる若いヒトが増えているとかーー
スリムになったので筋肉が少なく、熱が十分作れないのでしょうか?

<低体温が不健康の理由>
蛙は変温動物でヒトは恒温動物です。

私たちは36-37度を保つために食べ物から得たエネルギーの75%以上を体温維持に使わなければなりません。

ヒトでは体内に沢山ある酵素類が36.5℃くらいで最も活性化され機能します。

もし体温が1℃下がると、1)免疫力低下、2)基礎代謝低下、3)体内酵素の活性の低下、が生じて不調や老化がすすむ、といわれています。

体温を上げるには代謝をあげる、それには代謝への影響が大きい下半身の筋肉を積極的に動かす、のが一番ですね(図、右)。

ケロちゃんのジャンプは無酸素系持久力が強いばかりでなくどうも足首や股関節の柔軟性も高いと私は見て取りました。そこで私はお風呂で腱も揉みます。

ヒトは加齢によって筋肉は細く少なくなり、ミトコンドリアも機能が低下し代謝が下がります。
代謝が下がる、即ちATP産生能力が下がるということなのです。

そして体温も下がっていきます。

体温調節の機構が分子レベルで解明されると健康長寿への道がはっきり見えてくると思います。

<体温を調節する脳(視床下部)の情報処理機構>
体温は脳の視床下部の自律神経系と骨格筋の熱発生そしてホルモンの調節によって維持されています。
いったいどのようにコントロールされているのでしょうか。

最近、脳由来神経栄養因子(BDNF)がエネルギーバランスや摂食行動に関与するという報告がなされました(参考)。

BDNFは神経細胞の分化、発達、生存、シナプスの可塑性に関与し記憶・学習に重要な分子であることが知られています。
またうつ病では血中で低下しているのでうつ病の候補マーカーとしても研究されています。

上記の参考論文ではBDNFの摂食抑制の仕組みを明らかにするためにBDNFを脳室内に投与しました。すると摂食抑制、脂肪の燃焼、体重の減少、深部体温の上昇がありました。

これらのことを解明するために、視床下部の室傍核に多いコルチコトロピンホルモン放出因子(CRH)の拮抗剤を使って解析したところこれらの代謝エネルギー調節作用は、BDNFが室傍核にあるその受容体であるTrkBを介して、CRHというホルモンの発現増大を起こしたことによる、と考えられました。

BDNFが、ストレス応答の要といわれているCRHの制御もしていることが示されたのです。

ちなみに運動するとヒラメ筋(図、右)のBDNFが発現増大するとか、そして頭も良くなるらしい(本ブログ)。

我が家のケロちゃんの脳はBDNFがいっぱいかも~~



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    Posted by 丸山 悦子  at 22:58│Comments(0)長寿健康社会
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