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Posted by たまりば運営事務局 at

2011年06月30日

三鷹には鷹がたくさん!!!

<梢の鷹の威厳>
私はスーパーに行くのに、よく半丁ほど先の小さな「野鳥の森公園」をショートカットします。

先日、小径で背の高い脚立にカメラを据えた方が「望遠です」と言って私にファインダーを覗くよう目配せなさいました。

小さいファインダーの中央には、何か白っぽいものがーーー。

私は、楓の後方の赤松のそのまた後の高い木の枝別れ、その特徴を頼りに顔を上げていきました。

そして、白い胸を我が目にした時「鷹だ!」と思わず叫んでしまいました。

「そう、三鷹には鷹が多いんですよ」と微笑むカメラマン。
「三羽?」と私。

鷹は、始めて見た私でもその体が知れるほどに、自信の気が伝わってきました。
戦国の武将が鷹をシンボルとして好んだ理由をまさに知れり、なのでした。

少し歩いてから私は思わず振り返ってしまいました。
鷹の足と鷹匠?カメラマンに紐でもあるか、と思ったのでした~

<お狩り場>
少し先の御殿山あたりは徳川公の鷹狩りの場であったことは知っていました。
それは鷹を使って小獣の狩をする、いわば英国貴族の狐狩りのような高級な戯れごとのはずです。

まさか鷹が沢山いるので三鷹?とは思いもよらぬことでした。
ホントのところは如何でしょうか。

<色の情報処理>
猛禽類の鷲・鷹は高いところから獲物を見つけ、自分より大きいものでも掴み去る空のハンターです。
あの鋭い目!鷲・鷹こそ動いているものを瞬時に捉えられる動体視力の権化?なのです。

視覚は、電磁波(図の上)のうち外からの光を刺激として感じる感覚で、光が目の網膜を刺激して、そこに生じた神経的な興奮が大脳の視覚野(図の左)に伝えられ、色を認識します。

光の刺激を受容して電気信号に変換する視細胞は網膜にあり、桿体細胞と錐体細胞という2種類があります(図の右)。桿体細胞は明暗を識別、色は錐体細胞です。

鷹の優れた視覚能力は動体視力におけるピントの調節力のみならず特別な視細胞の仕組みにあります。

まず紫外線(図の上)で、視覚情報に使えるようです。あの大空でよく白内障になりませんね。
ちなみにヒトは紫外線を認識しませんし、紫外線は極めて有害です。

実はこれには仕掛けが有りです。すなわち鷹は色を感じる錐体細胞にいろいろな色の油滴(図、右)という光の集光とフィルターの役目をする細胞内小器官を持っているのです(参考)。これによって紫外線の害から守り、多くの色の区別を行なっています。この油滴は私達にはありません。

色の識別の分子機構は、桿体や錐体細胞の視物質(ロドプシンやオプシンなど)がある波長を吸収することよって構造が変わると、細胞内酵素(サイクリックGMP-ホスホディエステラーゼ)が活性化され、サイクリックGMPが分解されて神経細胞へ種々の情報がもたらされます。

すなわち酵素作用による細胞内情報物質の変化が神経細胞のイオンチャンネルの働きを変え、そしてイオンの流れが変化したことによる視神経の興奮の具合が大脳では光の波長を区別する、という仕組みなのです。

光の情報は大脳皮質で色味が抽出、調合されて、私だけの世界に?
あなたの赤と私の赤はまったく違うかも―――色を見るのは目ではなくて脳なのですから。

<目は裸の脳>
君の瞳は一万ボルト~このソングを聞いたとき脳が活性化しているのだ、と思ったものです。

と申しますのは脊椎動物の網膜には図のように大脳につながる神経細胞が、すなわちむき出しの脳が手前表面にあるからです(図の右下)。

近年、私たちの目はオゾン層の破壊やPC作業によって有害な光線(強い紫外線や青紫色光)を浴びる機会が極めて増大しています。

いつも裸なのですから、過剰な電磁波エネルギーによる酸化ストレスを軽減すべく、栄養にも気を配って大切にしなければなりませんね。

輝く瞳は輝いている脳でもあるのですから!!
  

  • Posted by 丸山 悦子  at 01:09Comments(2)脳神経生化学

    2011年06月12日

    たばこの煙

    <ニコチンが怖い理由>
    煙草はひとたびその味を覚えると、もう生涯、手放すことができなくなる、とか(私は吸ったことがないのでどうもリアルではありませんがーー)。

    しかしいくら快感の世界に浸りたくても弊害が多いので、ひとの前では吸えませんね。

    例えば受動喫煙による影響は特に小児・胎児には著しい害となります。そして日に一箱も吸う人と一緒に生活すると年間10回の胸部レントゲン(~mSv)を受けたと同じ、放射性鉛やポロニウム(図の上)の放射線を浴びるようです。

    もちろん本人には、たばこの葉由来のニコチンや放射性物質、そして添加成分が発ガン因子となるのみならず、口腔内では歯肉の血行不良、歯周病を誘引し、あげくは免疫不全や骨粗しょう症、脳萎縮と多くの疾患の危険因子となることが分かっています。

    ちなみに、日に20本吸うと年間300回の胸部X線と同じ内部被爆量となる、と報告されています(文献 )。

    ニコチンはコカイン、モルフィネとともに植物アルカロイドという麻薬で劇・毒物です。
    それらには耽溺性(強迫的な乱用と再発に推移していく精神的・身体的依存性)があるため止められなくなるのです。

    いったい、そのメカニズムはどのようなものでしょうか。

    <快感を増幅する神経伝達物質>

    肺から吸収されたニコチンが中脳腹側被蓋野ニューロンに存在するニコチン受容体(ニコチン性アセチルコリン受容体)や側坐核(図)などにある前シナプス膜のその受容体(図、中央)に結合すると神経細胞末端から、興奮性神経伝達物質であるドパミンが過剰放出します。
    すると満足感などの快感がおきるのです。

    そこは、中脳の腹側被蓋野から視床下部(辺縁系)の側坐核、さらに前頭葉にいたる、ドパミンなどを神経伝達物質としている神経細胞からなる、快感の脳内報酬神経系に位置するからです。

    したがって、やめられない、やめられない の元凶はその快感神経系のドーパミンという快楽物質のせいと解釈されます、がドパミンのレベルがどのようにこの神経回路内で調節を受けるのか詳細は未知です。

    このシステムの制御は神経細胞間の興奮伝達と神経細胞内の情報伝達のレベルで行われると考えられます。

    ドパミンD2受容体の高親和性型におけるレベルの増大がニコチンの高感受性に関与するという報告がされています(参考)。

    最近、脳切片において喫煙時のニコチン濃度を用いて実験をし、前シナプスでグルタミン酸の放出があることが見つかりました(参考)。

    依存性解除の治療法開発のために、グルタミン酸神経系などが関与する分子レベルの解明が待たれます。 

    <千変万化のニコチン受容体>
    数年に一度はおしゃべりを楽しむヘビースモーカーの友人がいます。

    ある時「ニコチンって頭が良くなるの?」と、ニコチンの害しか知らない私でしたが思わず尋ねてしまいました。

    というのは私には彼女の脳が、透きとおって見え、神経のシナプスが増えているというよりはゴミ・チリ類がなくなっているように感じたからでした。

    彼女は「頭は良くならないけどニコチンが皮膚に沈着してまっ茶色ョ!」と言って腕を捲って見せました。

    豈図らんや、やはりニコチンは認知力を高める、ようです。

    ニコチンのポジテイヴ効果として認知力の増大や神経疾患の治療への利用について報告がなされています(参考)。

    ニコチン受容体は種々のサブユニットからなるイオンチャネルで、脳内には多種類知られ、分布も広範囲です。それだけ機能も多様性が推察され、記憶学習をはじめとする様々な生理機能に密接に関わっていると考えられています。

    そう言えば一昨日の新聞に、煙草のニコチンが肥満を防ぐという研究結果が雑誌サイエンスに掲載された、とありました。視床下部の自律神経系に関与する神経細胞のニコチン受容体がニコチンで刺激されて食欲減退を導くのです(文献)。

    <脳内の指南はーー>
    前頭葉(脳の図)は、ヒトが人たる思考、判断に基づいた社会行動、創造性、意志の力を醸し出します。

    いっぽう、食欲、性欲のような本能的行動や快・不快、喜怒哀楽のような心の働きは大脳の中でも系統発生的に古い領域(図の海馬、扁桃体、側座核などの視床下部、脳幹周囲)が関与します。

    両者の連絡が密に保たれてこそ「自分」があることになりますね。

    達成や成功の積み重ねが快感の回路をいっそう磨くとも言われます。

    自己努力によって視床下部から前頭葉への経路を賦活し、煙草のニコチンに依らずに、精神の座とも言うべき大脳を充分に輝かせたいものです。。。
      

  • Posted by 丸山 悦子  at 20:39Comments(3)脳神経生化学