2013年03月27日
免疫力がヒトの生・死を決める

“To be or not to be,that is the question”は シェークスピアの悲劇 ‘ハムレット’の余りにも有名な台詞です。
生死の選択の苦渋に喘ぐハムレット、そこには強い意志が感じられます。
私たちはといえば意志とは裏腹に、複雑社会がもたらすストレスによる免疫力の低下によって生死が決定されてしまう、という悲劇の主人公にも思えます・・・
免疫力は治癒力ともいわれます。
健康は、血液に乗って体中を巡っている免疫細胞のさじ加減ひとつ?によるわけですね(図、左)。
ではその免疫細胞の具合を探って健康の指標を得ることは出来ないものでしょうか。
廣川勝昱先生は血中の免疫細胞の数と機能、比率をスコア化して健康状態が評価できることを発明されてベンチャーを立ち上げました(参考)。
<免疫細胞は健康の見張り役>
免疫システムは、生物が数十億年かけて生き残りを懸けて培ってきた、免疫細胞たちの複雑精緻な連携による、疾病から身を守る防御の仕組みにほかありません。
免疫細胞にはウイルスに感染した細胞を殺すキラーT細胞や癌細胞を退治するナチュラルキラー細胞などがあり常にパトロールしています(図、左中央)。ですから不摂生などして活性酸素の増大やストレスに曝されるとパトロール能力が低下して、細胞を元気にする生理活性因子が出せなくなり、発症を抑え切れなくなるのです。
さらには血液中のリンパ細胞が減少して免疫抑制に傾いてしまうと次の進入に備えられる抗体の産生が出来なくなってしまいます。
病原菌に一度かかると二度とかからない仕組みは獲得免疫といいます。B細胞が感染を記憶していて二度目に感染するとすぐさま大量の特異抗体を産生して無毒化するのです(図、中央)。
当然ながらその抗体産生能力が発揮できなかったら、炎症が進み、異常細胞が増え、生活習慣病やアルツハイマー病、癌などが進んでしまいます。
がっちりとスクラムを組んでいるような免疫細胞ですがこれだけに注意を注いでいれば安心でしょうか。
私は、その監視の網の目をくぐってしまった?生体の異常を何とか早期にキャッチ出来ないものかと考えます。
<認知症の予防、早期発見、治療への道>
高齢化社会を迎えて、認知機能が低下し生活の質が低下してしまった方がとても増えています。癌人口も増大です。
疾患の予防はもちろん早期発見をそして治療の経過をきちんとモニターすることが重要です。
いくらゲノム解析がベッドサイド化されてもダメです。生まれ持った個々の遺伝子ではなく遺伝子の発現物である蛋白質が刻々とストレスや他の分子の影響を受けて変わっていくのですから。
まず疾患特異的バイオマーカーの発見が必須です。さらに特異的な超微量測定法を確立しなければなりません(本ブログ)。
その戦略のひとつに、上にあげた、自己以外を認識する抗体の利用があります。
免疫機構の進化の産物である、哺乳類の特異抗体を作る能力とその抗原との結合力の強さを鑑みて、抗体を疾患特異試薬として利用するのです。
しかし私達の抗体の基本構造(図、右上)は、その分子量の大きいことや抗原認識の複雑さ(重鎖と軽鎖の二本づつからなっている)のために抗体エンジニアリングを行って試薬とするには容易ではありません。
ところがです!何とラクダだけは違ったのです。
ラクダのリンパ球は軽鎖のない免疫グロブリンも作っていたのです(図、右上、中央)。しかも単鎖の可変領域(VHH)だけでも抗原認識力が十分あったのです。
いざ、抗体工学で出陣です!
標的分子が免疫されたラクダリンパ球から得た抗体遺伝子をファージ(大腸菌のウイルス)に発現させてバイオパニング法でスクリーニングします。
ナノボデイと呼ばれる単鎖抗体が得られるようになりました(図、右下)。
ラクダのおかげで楽だったのです~
すでにいくつかのナノボデイが大腸菌をファージの宿主としてクローニングされました。
<抗体エンジニアリングによる抗体医薬の開発>
プロテインカイネースC エプシロン(PKCε)は脳の学習と記憶の場であるシナプスの形成に重要な蛋白質燐酸化酵素です。
シナプスが壊れ、Aβが蓄積していくアルツハイマー病でこの酵素の活性の変化が関与していることがわかってきました(参考)。
その酵素活性を制御できる試薬が作れれば認知力が回復するはずです。
ヒトPKCε組み替え蛋白質で免疫したラクダ科のリャマから取れたナノボディのクローンはヒト特異的で、いくつかはPKCεの触媒部位を認識し、その中には酵素活性を活性化するものと抑制するものがありました(参考)。
これらラクダ単鎖抗体は15~12kDと極めて小さく、血液脳関門(本ブログ) を通過出来るだけでなく細胞内に入れることも可能と考えられ、神経変性疾患の医薬品としての期待が一挙に高まっています。
今後、産官学などの連携による力で、ラクダ抗体やナノボディを用いた疾患医薬や分析技術が大きく発展するに違いありません。

木々の景色はまだ冬という二月に、いち早く咲き始めます。
まさに春告げの樹です。
今は桜にバトンタッチしました。
2012年02月25日
ナノテクノロジーはピコテクとなるか
<‘ナノ’は生活必需品>
1ナノメートル(nm)は1メートルの10^(-9) 倍で毛髪(0.1 mm)の10万分の一という長さです。電子顕微鏡の世界です。
ナノの言葉は抗菌グッズから化粧品に至るまですっかり定着しました。
化粧品の何がナノかというと、ナノサイズの酸化金属を加えることで成分を薄く広く皮膚に塗れたり紫外線散乱効果や透明感が得られるようになったそうです。
毛穴も綺麗にする(殺菌?)という‘メイク落とし’にはナノサイズの銀が使われているとのことです。
実はナノテクノロジーは、炭素原子が60個からなる化合物でありほぼ1 nmの大きさのフラーレンや径が1 nmのカーボンナノチューブ(図、中央)の発見がなされて一気に進みました。
その理由はカーボンナノチューブが伝導性が極めて優れている上に、そのしなやかさと強さがずば抜けているので半導体や電池など、あらゆるデヴァイスの素材や微小化に役立つからです。
さらにそれら炭素化合物の表面の自由電子は他分子との結合において今までに無い特徴を表すので、修飾分子によっては生物機能も代替出来るナノロボットが誕生しそうです。
細胞はナノの1000倍の単位であるマイクロの大きさです(図)。細胞内の機能部品を全てカーボンナノチューブに変えると生物ナノマシンです(参考)。
大腸菌(~5 μm)がしっぽ(鞭毛)を振って泳いでいます、と思いきや現れたのは人工大腸菌。カーボンナノチューブの鞭毛がぷりぷり、楽しいビデオです。
これを見て昔日の映画「ミクロの決死圏」を思い出しました。ウエットスーツのカッコいい科学者達がヒトの血管の中を泳ぎます。自分たちの何倍もある赤血球の濁流?に飲み込まれそうになったり、免疫細胞の攻撃から必死に逃げたり、とサスペンスでした。
<カーボンナノチューブのさらなる威力>
一昨日のニュースで日本の建設会社による2050年計画を知りました。
電子顕微鏡の世界から一気に宇宙エレベーターです。
カーボンナノチューブは何よりも強いので地上600万 km迄行くワイアーとして使える、というのです。
現在ある宇宙ステーション「きぼう」が地上400 kmですから夢のようです。ロケットを使わない宇宙旅行が出来るわけです。
でも汚れた地球を見捨てて我先に、と殺到する「蜘蛛の糸」には絶対にしたくありませんね。
目下は、医療ではカーボンナノチューブは心臓ペースメーカーのための体内微小電池や脳波電極など、既存装置の欠点を大きく解消すべく各種センサの開発に寄与しています。
がんのピンポイント治療に向けては体内の患部へ選択的に薬剤を送るドラッグデリバリーシステムにおいて、細胞よりはるかに小さい運搬体の材料としての研究がなされています。
そして上記の人工大腸菌のごとくヒトが遠隔操作できる体内乗り物が出来ると遺伝子(DNA)治療も容易になります。
医療では待ちに待ったナノバイオ時代の到来です。
<健康予防と術後の予後に必要な計測技術>
経年的に自分のサンプルでマーカーを測定してデータを取っていくと健康管理が出来ますね。
しかし体内の疾患マーカーはまだ沢山あるもののそのレベルの低さゆえにほとんどが発見されていない、と考えられます。
微量マーカーを見つけ測定可能とするためにはナノマテリアルや半導体技術などを駆使して、高感度かつ高精度な迅速簡便なナノデヴァイスを創ることが必須です。
極めて低濃度で血中に存在していて既に測定出来ているものに各種のホルモンがあります。
各ホルモンの標的細胞は血液を通して到達したホルモンが標的細胞にある受容体に結合することによって情報が伝達され、その細胞機能が制御されます。
例えば男性ホルモンのテストステロンの血中濃度は~20 nmol/l、唾液では~200 pmol/lの濃度です。ピコはナノの千分の一です。
唾液(本ブログ参考)の100 μl中には約6 pgあることになります。現在では測定に必要な分子の数は百億個以上です。
今では実験室で、マイクロピペットで0.5 μlは日常使う液体の体積です。そして蛋白質やDNAは数ngがゲル電気泳動上で目視出来ます。
さて抗原と抗体分子の結合具合や薬と結合する分子などの分子間相互作用が解析出来る、表面プラズモン共鳴装置という、数千万円もするハイテクの粋を凝らした大型機械があります。
原理は、~20 ngの分子を金属膜チップに固定しておき、そこに加えた他の分子が結合すると当てたレーザー光の屈折率が変化するので結合の相互作用がモニター出来るのです。分子に標識をしておかなくとも情報がとれるのがこの仕組みの利点です。
もし特異的に分子修飾したカーボンナノチューブを使うとそれに結合していた分子の状態が変わることでカーボンナノチューブの電気特性の変化としてモニターすることになります。工夫すれば感度が上がる新たなデヴァイスが出来るかも知れませんね。
ガン検査ではがんマーカーが増大していてその疾患が分かります、が術後は低いレベルの維持を見守らなければなりません。まさかの時の素早い次の手が取れるかどうかで運命が変わるからです。
今よりはるかに感度の良い装置や測定法の開発が必要とされています。
David M.Rissin らは驚くべき測定法を開発しました。
前立腺ガンのマーカーである前立腺ガン抗原(PSA)は根治的前立腺摘所の患者においてはこれまでの測定法では測定出来ませんでした、が彼らの方法によれば血清を用いて9.39-0.014 pg/mlと得られました(See, Fig. 4)。
14 f(フェムト)g/ml即ち~400 a(アト)mol/lという低レベルの患者でも測定出来たのです。
彼らはPSAを補足するビオチン化DNA結合の磁気ビーズと酵素が結合した特異抗体を使いました。そして蛍光分子を標識した基質とその酵素が反応するチェンバーの容量を50 flとすることによってこの快挙を得ました。
血清での濃度が~1 f mol/lという低レベルの前立腺がん抗原は50 flのウエルの中でPSA分子一個が測れていたことになります。
体内微量分子の測定可能濃度はナノからピコ、フェムトmol/lに到達しました。さらに千分の一のアトの世界へは、飽く無き挑戦が導くもの、ナノかもーーー
これも前回ブログの小菊と同じで「ご自由にどうぞ」でした。
花が全くしおれた鉢でしたがみごとに沢山咲きました。
余りに美しかったのでお礼にみかんを持っていきました。
花代より随分と高かったでした・・・・
1ナノメートル(nm)は1メートルの10^(-9) 倍で毛髪(0.1 mm)の10万分の一という長さです。電子顕微鏡の世界です。
ナノの言葉は抗菌グッズから化粧品に至るまですっかり定着しました。
化粧品の何がナノかというと、ナノサイズの酸化金属を加えることで成分を薄く広く皮膚に塗れたり紫外線散乱効果や透明感が得られるようになったそうです。
毛穴も綺麗にする(殺菌?)という‘メイク落とし’にはナノサイズの銀が使われているとのことです。

その理由はカーボンナノチューブが伝導性が極めて優れている上に、そのしなやかさと強さがずば抜けているので半導体や電池など、あらゆるデヴァイスの素材や微小化に役立つからです。
さらにそれら炭素化合物の表面の自由電子は他分子との結合において今までに無い特徴を表すので、修飾分子によっては生物機能も代替出来るナノロボットが誕生しそうです。
細胞はナノの1000倍の単位であるマイクロの大きさです(図)。細胞内の機能部品を全てカーボンナノチューブに変えると生物ナノマシンです(参考)。
大腸菌(~5 μm)がしっぽ(鞭毛)を振って泳いでいます、と思いきや現れたのは人工大腸菌。カーボンナノチューブの鞭毛がぷりぷり、楽しいビデオです。
これを見て昔日の映画「ミクロの決死圏」を思い出しました。ウエットスーツのカッコいい科学者達がヒトの血管の中を泳ぎます。自分たちの何倍もある赤血球の濁流?に飲み込まれそうになったり、免疫細胞の攻撃から必死に逃げたり、とサスペンスでした。
<カーボンナノチューブのさらなる威力>
一昨日のニュースで日本の建設会社による2050年計画を知りました。
電子顕微鏡の世界から一気に宇宙エレベーターです。
カーボンナノチューブは何よりも強いので地上600万 km迄行くワイアーとして使える、というのです。
現在ある宇宙ステーション「きぼう」が地上400 kmですから夢のようです。ロケットを使わない宇宙旅行が出来るわけです。
でも汚れた地球を見捨てて我先に、と殺到する「蜘蛛の糸」には絶対にしたくありませんね。
目下は、医療ではカーボンナノチューブは心臓ペースメーカーのための体内微小電池や脳波電極など、既存装置の欠点を大きく解消すべく各種センサの開発に寄与しています。
がんのピンポイント治療に向けては体内の患部へ選択的に薬剤を送るドラッグデリバリーシステムにおいて、細胞よりはるかに小さい運搬体の材料としての研究がなされています。
そして上記の人工大腸菌のごとくヒトが遠隔操作できる体内乗り物が出来ると遺伝子(DNA)治療も容易になります。
医療では待ちに待ったナノバイオ時代の到来です。
<健康予防と術後の予後に必要な計測技術>
経年的に自分のサンプルでマーカーを測定してデータを取っていくと健康管理が出来ますね。
しかし体内の疾患マーカーはまだ沢山あるもののそのレベルの低さゆえにほとんどが発見されていない、と考えられます。
微量マーカーを見つけ測定可能とするためにはナノマテリアルや半導体技術などを駆使して、高感度かつ高精度な迅速簡便なナノデヴァイスを創ることが必須です。
極めて低濃度で血中に存在していて既に測定出来ているものに各種のホルモンがあります。
各ホルモンの標的細胞は血液を通して到達したホルモンが標的細胞にある受容体に結合することによって情報が伝達され、その細胞機能が制御されます。
例えば男性ホルモンのテストステロンの血中濃度は~20 nmol/l、唾液では~200 pmol/lの濃度です。ピコはナノの千分の一です。
唾液(本ブログ参考)の100 μl中には約6 pgあることになります。現在では測定に必要な分子の数は百億個以上です。
今では実験室で、マイクロピペットで0.5 μlは日常使う液体の体積です。そして蛋白質やDNAは数ngがゲル電気泳動上で目視出来ます。
さて抗原と抗体分子の結合具合や薬と結合する分子などの分子間相互作用が解析出来る、表面プラズモン共鳴装置という、数千万円もするハイテクの粋を凝らした大型機械があります。
原理は、~20 ngの分子を金属膜チップに固定しておき、そこに加えた他の分子が結合すると当てたレーザー光の屈折率が変化するので結合の相互作用がモニター出来るのです。分子に標識をしておかなくとも情報がとれるのがこの仕組みの利点です。
もし特異的に分子修飾したカーボンナノチューブを使うとそれに結合していた分子の状態が変わることでカーボンナノチューブの電気特性の変化としてモニターすることになります。工夫すれば感度が上がる新たなデヴァイスが出来るかも知れませんね。
ガン検査ではがんマーカーが増大していてその疾患が分かります、が術後は低いレベルの維持を見守らなければなりません。まさかの時の素早い次の手が取れるかどうかで運命が変わるからです。
今よりはるかに感度の良い装置や測定法の開発が必要とされています。
David M.Rissin らは驚くべき測定法を開発しました。
前立腺ガンのマーカーである前立腺ガン抗原(PSA)は根治的前立腺摘所の患者においてはこれまでの測定法では測定出来ませんでした、が彼らの方法によれば血清を用いて9.39-0.014 pg/mlと得られました(See, Fig. 4)。
14 f(フェムト)g/ml即ち~400 a(アト)mol/lという低レベルの患者でも測定出来たのです。
彼らはPSAを補足するビオチン化DNA結合の磁気ビーズと酵素が結合した特異抗体を使いました。そして蛍光分子を標識した基質とその酵素が反応するチェンバーの容量を50 flとすることによってこの快挙を得ました。
血清での濃度が~1 f mol/lという低レベルの前立腺がん抗原は50 flのウエルの中でPSA分子一個が測れていたことになります。
体内微量分子の測定可能濃度はナノからピコ、フェムトmol/lに到達しました。さらに千分の一のアトの世界へは、飽く無き挑戦が導くもの、ナノかもーーー

花が全くしおれた鉢でしたがみごとに沢山咲きました。
余りに美しかったのでお礼にみかんを持っていきました。
花代より随分と高かったでした・・・・
2011年11月18日
The Noticer、'気づき'が運命を変える!
<自分で選べる成功の道>
「The Noticer」は全米ベストセラーになった本の題名です。
著者のアンディ・アンドルーズはホームレスから一躍ベストセラー作家になりました。
主人公である、ジーパン姿に一個のスーツケースを携えたジョーズ老人はいつも突如とどこからともなく町に現れます。そして苦境に陥って投げ槍になった人々の人生を蘇らせていきます。
決まってどの人もそれまでとは違う自分を見つけて幸福な人生を歩き始めます。
やっぱりここはお爺さんの出番!
お婆さんではない・・・・
町のどのひとも彼の言葉を受け入れます。そしてある日、スーツケースだけが見つかった時それを囲んで、どの人も、洩らしたことのない自らの人生の転機をはなし始めるのでした。
<思い込みからの脱出>
自殺をも思いとどめさせる、ジョーズ老人が皆に与えてくれたことは何だったでしょうか。
それは「違う風に考えてごらん!」と自らに気づきをくれる一言なのでした。
さて、現代は情報過多の時代。
特に必要なことは価値ある情報を示せること、そして比類なき感性があること、といわれます。
それは少しの違いや変化に気づく能力をもってして、時には堂々巡りのるつぼから這い出る能力、ということかもしれません。
それではその気づく能力はどうしたら獲得できるのでしょうか。
それは多分、納得いかない自分に気づくこと、なぜを発すること、質問をすること、そんな些細なことの積み重ねのように思われます。
脳化学的にはいったん‘気づき’で脳が賦活されると、快楽ホルモンであるβエンドルフィンやドーパミンを神経伝達物質とする神経ネットワークが強化され、遺伝子の働き方も変わっていく、と考えられます。
たまには目標から離れて、遠くから眺めてみることや思考の中心を変えて行動してみることも重要かもしれません。
唾液に視点を向けてみたら思いもかけないことが分かりました。
<吸血鬼が脳梗塞を救う?>
‘ツバ’という言葉は日頃は嫌なイメージのものです。
ところが貴重な成分がーーー
蚊や蚤、蛭、吸血蝙蝠、ドラキュラ?など血を吸う生き物は敵の血を固まらせないで吸うために自分の唾液中に線溶蛋白質という血を溶かす酵素があるのです。それがどうも今までに無いような高い効果をヒトの脳血栓で発揮するというのです(参考)。
もちろんヒトは吸血動物ではありませんので私達の唾液にはありません。反対に止血を促す血液凝固因子や細胞増殖因子があります。ちなみに私は反射的に傷口を舐めます。
唾液が、噛めば噛むほど脳は若返る、唾液でアンチエイジングといわれるのは唾液線(図の右)から抗ガン作用や殺菌効果がある分子、また、少ない食事で栄養分を取り込めるような消化酵素や免疫系蛋白質などがたくさん分泌されるからです。
そのため最近では食べてすぐに歯を磨かないほうが良い、というはなしもーー。
さらに唾液は健康成分のみならずバイオマーカーの宝庫かもしれません。
<脳疾患バイオマーカーを唾液中に見つけたい!>
唾液検査による健康具合のチェックは既にストレスホルモンであるコルチゾールや、アミラーゼがストレスマーカーとして血液の代わりに測定されています。
また乳がんやすい臓がんのマーカーも検出されました。
唾液の分泌は脳の視床下部にある自律神経系(交感神経と副交感神経)(本ブログ参考 )によって調節されています(図の左)。
交感神経系(図の赤い線)が優位になると蛋白質を多く含む粘液性の、また副交感神経系(図の青い線)が優位になると漿水性の唾液が口の中にある大小たくさんの唾液腺から分泌されます。日に1リットル以上です。
最近、アルツハイマー病のマーカーが測定できると報告されました(参考)。
唾液は非侵襲的に検査が出来るのでこれまでの血液や脳脊髄液の搾取による検査法に比べて安全です。
ですから当然ながら他の疾患バイオマーカーの発見も期待されます。
しかしそれらのレベルは血中より相当に低いと考えられるので測定技術にブレークスルーが必要ですね。
私はアイデアを練って唾液中の微量な神経機能分子の測定法を創出しよう、と研究費獲得にも尽力します。
ブラックパール(黒真珠)はナス科です。
数mmと極めて小さい濃紫の花はよく見ると茄子の花にそっくりです。
葉も実も黒く、その実は真珠よりかなり大きいです。
春には根元に、こぼれた実から小さい芽が沢山出てきます。
「The Noticer」は全米ベストセラーになった本の題名です。
著者のアンディ・アンドルーズはホームレスから一躍ベストセラー作家になりました。
主人公である、ジーパン姿に一個のスーツケースを携えたジョーズ老人はいつも突如とどこからともなく町に現れます。そして苦境に陥って投げ槍になった人々の人生を蘇らせていきます。
決まってどの人もそれまでとは違う自分を見つけて幸福な人生を歩き始めます。
やっぱりここはお爺さんの出番!
お婆さんではない・・・・
町のどのひとも彼の言葉を受け入れます。そしてある日、スーツケースだけが見つかった時それを囲んで、どの人も、洩らしたことのない自らの人生の転機をはなし始めるのでした。
<思い込みからの脱出>
自殺をも思いとどめさせる、ジョーズ老人が皆に与えてくれたことは何だったでしょうか。
それは「違う風に考えてごらん!」と自らに気づきをくれる一言なのでした。
さて、現代は情報過多の時代。
特に必要なことは価値ある情報を示せること、そして比類なき感性があること、といわれます。
それは少しの違いや変化に気づく能力をもってして、時には堂々巡りのるつぼから這い出る能力、ということかもしれません。
それではその気づく能力はどうしたら獲得できるのでしょうか。
それは多分、納得いかない自分に気づくこと、なぜを発すること、質問をすること、そんな些細なことの積み重ねのように思われます。
脳化学的にはいったん‘気づき’で脳が賦活されると、快楽ホルモンであるβエンドルフィンやドーパミンを神経伝達物質とする神経ネットワークが強化され、遺伝子の働き方も変わっていく、と考えられます。
たまには目標から離れて、遠くから眺めてみることや思考の中心を変えて行動してみることも重要かもしれません。
唾液に視点を向けてみたら思いもかけないことが分かりました。

‘ツバ’という言葉は日頃は嫌なイメージのものです。
ところが貴重な成分がーーー
蚊や蚤、蛭、吸血蝙蝠、ドラキュラ?など血を吸う生き物は敵の血を固まらせないで吸うために自分の唾液中に線溶蛋白質という血を溶かす酵素があるのです。それがどうも今までに無いような高い効果をヒトの脳血栓で発揮するというのです(参考)。
もちろんヒトは吸血動物ではありませんので私達の唾液にはありません。反対に止血を促す血液凝固因子や細胞増殖因子があります。ちなみに私は反射的に傷口を舐めます。
唾液が、噛めば噛むほど脳は若返る、唾液でアンチエイジングといわれるのは唾液線(図の右)から抗ガン作用や殺菌効果がある分子、また、少ない食事で栄養分を取り込めるような消化酵素や免疫系蛋白質などがたくさん分泌されるからです。
そのため最近では食べてすぐに歯を磨かないほうが良い、というはなしもーー。
さらに唾液は健康成分のみならずバイオマーカーの宝庫かもしれません。
<脳疾患バイオマーカーを唾液中に見つけたい!>
唾液検査による健康具合のチェックは既にストレスホルモンであるコルチゾールや、アミラーゼがストレスマーカーとして血液の代わりに測定されています。
また乳がんやすい臓がんのマーカーも検出されました。
唾液の分泌は脳の視床下部にある自律神経系(交感神経と副交感神経)(本ブログ参考 )によって調節されています(図の左)。
交感神経系(図の赤い線)が優位になると蛋白質を多く含む粘液性の、また副交感神経系(図の青い線)が優位になると漿水性の唾液が口の中にある大小たくさんの唾液腺から分泌されます。日に1リットル以上です。
最近、アルツハイマー病のマーカーが測定できると報告されました(参考)。
唾液は非侵襲的に検査が出来るのでこれまでの血液や脳脊髄液の搾取による検査法に比べて安全です。
ですから当然ながら他の疾患バイオマーカーの発見も期待されます。
しかしそれらのレベルは血中より相当に低いと考えられるので測定技術にブレークスルーが必要ですね。
私はアイデアを練って唾液中の微量な神経機能分子の測定法を創出しよう、と研究費獲得にも尽力します。

数mmと極めて小さい濃紫の花はよく見ると茄子の花にそっくりです。
葉も実も黒く、その実は真珠よりかなり大きいです。
春には根元に、こぼれた実から小さい芽が沢山出てきます。
2011年09月30日
シミュレーション社会
<スイッチョも我が家に緊急避難!>
台風一過、何と居間に避難して来た‘馬老い’がスイッチョ,スイッチョと、安堵の歌声!!
しばらく滞在していました。
先週の15号は東京も凄まじい風雨だったのです。
テレビには刻々と進路や風速、雨量の数値が、さらにダムが決壊した洪水シミュレーションも映し出されました。そして次々と避難勧告が出されていきました。
警戒や避難が出来たのは気象衛星などからのリアルタイムのデータによるモデリングとシミュレーションのおかげですね。
<台風の発生とそのエネルギー>
南方の海上で太陽熱によって生じる上昇気流の水蒸気が凝結します。すると雲に変わり潜熱という熱を出します。さらに地球の自転の影響を受けてこの低気圧の中心付近に高温多湿の空気が反時計回りに吹き込みます。雲は積み重なり、上空が暖められてーーーを繰り返して台風は発達します(図の左)。
過去の実測値や経験をもとに確率統計学に頼っていた天気予報も今やスーパーコンピュータを用いたシミュレーション科学によってその精度が大きく向上しています。
しかも将来は地球温暖化によって熱帯低気圧の被害が増大する、というシミュレーション結果まで出ているようです。
台風のエネルギーは「台風の爪あと」といわれる様に、そのエネルギーは長崎・広島の原爆どころではない莫大なものです。
消滅させたり発電に利用できるようなシミュレーションが欲しいですね。
<ひらめきよりもスパコン?>
自分の人生は自分でシミュレーションします。
そして世界の将来はメデイアが世界金融恐慌とか日本破綻とかーー
実験科学者は休み無く、机上実験たる研究のシミュレーションを脳内で続けています。
でもたまに湧くひらめきに期待するよりはスパコンなのでしょうかーーー
確かに、実験に拠らない生体機能分子の理論的解析や高精度の数学的解析法を用いると人間の脳では思いもつかない新たな視点が与えられるのです。
サイクリックAMPはセカンドメッセンジャーと言われ神経細胞でも重要な細胞内情報分子です。酵素の連携を介した、細胞膜のマイクロドメインにおけるサイクリックAMPの細胞内でのダイナミズムがシミュレーションされました(参考)。
ところで健康管理や疾患のシミュレーションはどうでしょうか。
生体分子は常に外部からの摂動に応答しています。その要素の多さと複雑さの故にモデル化が極めて難しいのです。
<計算科学と医療>
いったい私たちの健康維持のために今後どのようにシミュレーション科学は貢献するのでしょうか(図の右)。
一人一人は違った遺伝子(参考、本ブログ)を持つのでその遺伝子産物が微妙に異なるだけでなく、各自の生活習慣の違いによっても代謝物質の種類と量は変わります。
それこそあなたを使った実験は不可能なことなのですし~
ですからまず臨床のデータを使いながら計算科学的に統合的な洞察を得ることが大切かもしれません。
または沢山の代謝分子を特定し沢山の疾患モデルを作り、何百万もの原子数の系を計算するソフトウェアの開発が必要かもしれません。
シミュレーションのためには必要な本質をきっちりと取り込んだモデルが必要です。そしてモデルの検証と最適化が繰り返されます。
とにかく超高齢化に向けて、認知症を防ぐべく脳機能低下の機序解明のためのシミュレーションが必須ですね。
最近、ストレスで増大するホルモンのコルチゾールと記憶の中枢である海馬の萎縮についてシミュレーション科学の立場からモデリングして数学的に解析がなされました。加齢では血中のコルチゾールのレベルが上がり12%も記憶が障害されると計算されました。特に65歳も過ぎるととたんに慢性的なコルチゾールの増大が記憶にも海馬の萎縮にも激しく悪影響するのでした(参考)。
アルツハイマー病のような加齢による認知症状を避けるにはコルチゾールレベルを上げないこと、即ちストレスのない穏やかな暮らしをせよ?ということでしょうか。

すずらんは春に咲くその花ばかりを愛でます(参考、本ブログ)。
ふと、足元の小さな実に目がいきました。
台風一過、何と居間に避難して来た‘馬老い’がスイッチョ,スイッチョと、安堵の歌声!!
しばらく滞在していました。
先週の15号は東京も凄まじい風雨だったのです。
テレビには刻々と進路や風速、雨量の数値が、さらにダムが決壊した洪水シミュレーションも映し出されました。そして次々と避難勧告が出されていきました。
警戒や避難が出来たのは気象衛星などからのリアルタイムのデータによるモデリングとシミュレーションのおかげですね。

南方の海上で太陽熱によって生じる上昇気流の水蒸気が凝結します。すると雲に変わり潜熱という熱を出します。さらに地球の自転の影響を受けてこの低気圧の中心付近に高温多湿の空気が反時計回りに吹き込みます。雲は積み重なり、上空が暖められてーーーを繰り返して台風は発達します(図の左)。
過去の実測値や経験をもとに確率統計学に頼っていた天気予報も今やスーパーコンピュータを用いたシミュレーション科学によってその精度が大きく向上しています。
しかも将来は地球温暖化によって熱帯低気圧の被害が増大する、というシミュレーション結果まで出ているようです。
台風のエネルギーは「台風の爪あと」といわれる様に、そのエネルギーは長崎・広島の原爆どころではない莫大なものです。
消滅させたり発電に利用できるようなシミュレーションが欲しいですね。
<ひらめきよりもスパコン?>
自分の人生は自分でシミュレーションします。
そして世界の将来はメデイアが世界金融恐慌とか日本破綻とかーー
実験科学者は休み無く、机上実験たる研究のシミュレーションを脳内で続けています。
でもたまに湧くひらめきに期待するよりはスパコンなのでしょうかーーー
確かに、実験に拠らない生体機能分子の理論的解析や高精度の数学的解析法を用いると人間の脳では思いもつかない新たな視点が与えられるのです。
サイクリックAMPはセカンドメッセンジャーと言われ神経細胞でも重要な細胞内情報分子です。酵素の連携を介した、細胞膜のマイクロドメインにおけるサイクリックAMPの細胞内でのダイナミズムがシミュレーションされました(参考)。
ところで健康管理や疾患のシミュレーションはどうでしょうか。
生体分子は常に外部からの摂動に応答しています。その要素の多さと複雑さの故にモデル化が極めて難しいのです。
<計算科学と医療>
いったい私たちの健康維持のために今後どのようにシミュレーション科学は貢献するのでしょうか(図の右)。
一人一人は違った遺伝子(参考、本ブログ)を持つのでその遺伝子産物が微妙に異なるだけでなく、各自の生活習慣の違いによっても代謝物質の種類と量は変わります。
それこそあなたを使った実験は不可能なことなのですし~
ですからまず臨床のデータを使いながら計算科学的に統合的な洞察を得ることが大切かもしれません。
または沢山の代謝分子を特定し沢山の疾患モデルを作り、何百万もの原子数の系を計算するソフトウェアの開発が必要かもしれません。
シミュレーションのためには必要な本質をきっちりと取り込んだモデルが必要です。そしてモデルの検証と最適化が繰り返されます。
とにかく超高齢化に向けて、認知症を防ぐべく脳機能低下の機序解明のためのシミュレーションが必須ですね。
最近、ストレスで増大するホルモンのコルチゾールと記憶の中枢である海馬の萎縮についてシミュレーション科学の立場からモデリングして数学的に解析がなされました。加齢では血中のコルチゾールのレベルが上がり12%も記憶が障害されると計算されました。特に65歳も過ぎるととたんに慢性的なコルチゾールの増大が記憶にも海馬の萎縮にも激しく悪影響するのでした(参考)。
アルツハイマー病のような加齢による認知症状を避けるにはコルチゾールレベルを上げないこと、即ちストレスのない穏やかな暮らしをせよ?ということでしょうか。

すずらんは春に咲くその花ばかりを愛でます(参考、本ブログ)。
ふと、足元の小さな実に目がいきました。
2011年07月17日
「五大疾病」に精神疾患が加わる
<社会構造の変化でうつ病>
このたび厚労省は、新たに精神疾患も加えた「5大疾病」について重点対策を示しました。
2006年には上位死亡順である、がん、心疾患、脳血管疾患の「3大疾患」に糖尿病を加えて「四大疾病」としていました。
戦後間もない、1935年には死因の第一位は結核でした。
極めて多くの方が結核菌に感染して亡くなったのです。
それにしてもいったい誰が将来、精神疾患が国民病になると想像したことでしょう。
精神疾患の増大が意味することを今こそ、しっかり考えるべき時はないような気がしてなりません。
<社会不安と自殺>
何とこの十三年、自殺者数が連続3万人を突破し続けている、とのことです。
特に1998年の世界金融危機と2008年のリーマンショック以来の国内不況はうつ病と自殺リスクを非常に高めてしまい、一刻も早い社会経済の不安状況からの脱出が叫ばれています。
自殺者はリストラや就職の失敗などを背景に持ち、さらに「失業」「生活苦」「借金」「うつ病」などさまざまな要因が連鎖することが多いといわれています。
ある社会分析では、生活環境による諸問題と家系的遺伝子の変異(SNP)(本ブログ参照)などに加えて、本人の問題解決能力の低さが関連する、という洞察もなされました。
ですから昨今は、企業の採用でもその人の問題解決能力が重視されているようです。
巷では一時、鈍感力や能天気を賛美するような空気を感じたものですがーー
私たちの毎日はとかく逃げたいことばかり、学校、職場、家庭でのプレッシャーなど―――。
どうも難題解決より前に、課題に取り組めるこころの余力?がまず必要のように思われます。
こころが日本晴れ!そんな日を夢見て頑張るのが人生かもーーーそういう私は脳天気?
<自殺の要因分子、セロトニン>
はるか昔、私の脳研究へのきっかけは偶然に紐解いたうつ病のセロトニン仮説に関する神経薬理化学の単行本でした。
それは神経シナプスにおけるセロトニンのリアップテイクの仕組みを説明していました。
今なお、うつ病は其の仮説の域を出ないようですね。
セロトニンは脳内では神経伝達分子のひとつであり、脳天気分子とも言えましょうか?こころの平穏や気分に関係する脳内分子と考えられています。
うつ病(本ブログ参照)になって自殺した方の脳ではセロトニンレベルの低下、シナプスで放出されたセロトニンを再取り込みするセロトニントランスポーター(図、中央)の低下、またセロトニン受容体レベルの異常などが報告されています。
現在使用されている薬の多くは、図の神経細胞間のシナプスから放出されたセロトニンのセロトニントランスポーターを介したリアップテイクを阻害する事によって、症状を改善する、というものです。
しかしながら、どれも副作用が強く完治が望めません。
最近、脳内セロトニンレベルを決める律速酵素(図、上)であるトリプトファンヒドロキシラーゼ遺伝子の発現制御機構(参考)や本酵素のSNP(参考)の新事実が報告されました。
これらの機構にリンクして発症を導くであろう分子の解明や同定が期待されます。
ひとりひとりに適した薬剤を開発するにはセロトニン代謝に関する酵素たんぱく質の遺伝子のSNP(本ブログ参照)の解析やコンピューター・シミュレーション法によるバイオインフォマテイックスで新たな手がかりを得ることが重要です。
<健康の自己管理>
私は、五大疾病について厚労省のみならず多方面でこれまでとは違う観点を感じます。
それは、これらの病気がみな日々の生活習慣に基づく、ということが強調されていることです。
すなわち健康については、自己管理力が問われるものであり、それに期待する、というわけです。
私たちは都市化を進め便利さを求め、生命の生理・リズムをないがしろにした生活や働き方をしてきてしまいました。
科学的なシステムに乗っ取って個人が継続的に健康状態をチェック出来るようになると良いですね。
このたび厚労省は、新たに精神疾患も加えた「5大疾病」について重点対策を示しました。
2006年には上位死亡順である、がん、心疾患、脳血管疾患の「3大疾患」に糖尿病を加えて「四大疾病」としていました。
戦後間もない、1935年には死因の第一位は結核でした。
極めて多くの方が結核菌に感染して亡くなったのです。
それにしてもいったい誰が将来、精神疾患が国民病になると想像したことでしょう。
精神疾患の増大が意味することを今こそ、しっかり考えるべき時はないような気がしてなりません。
<社会不安と自殺>
何とこの十三年、自殺者数が連続3万人を突破し続けている、とのことです。
特に1998年の世界金融危機と2008年のリーマンショック以来の国内不況はうつ病と自殺リスクを非常に高めてしまい、一刻も早い社会経済の不安状況からの脱出が叫ばれています。
自殺者はリストラや就職の失敗などを背景に持ち、さらに「失業」「生活苦」「借金」「うつ病」などさまざまな要因が連鎖することが多いといわれています。
ある社会分析では、生活環境による諸問題と家系的遺伝子の変異(SNP)(本ブログ参照)などに加えて、本人の問題解決能力の低さが関連する、という洞察もなされました。
ですから昨今は、企業の採用でもその人の問題解決能力が重視されているようです。
巷では一時、鈍感力や能天気を賛美するような空気を感じたものですがーー
私たちの毎日はとかく逃げたいことばかり、学校、職場、家庭でのプレッシャーなど―――。
どうも難題解決より前に、課題に取り組めるこころの余力?がまず必要のように思われます。
こころが日本晴れ!そんな日を夢見て頑張るのが人生かもーーーそういう私は脳天気?

はるか昔、私の脳研究へのきっかけは偶然に紐解いたうつ病のセロトニン仮説に関する神経薬理化学の単行本でした。
それは神経シナプスにおけるセロトニンのリアップテイクの仕組みを説明していました。
今なお、うつ病は其の仮説の域を出ないようですね。
セロトニンは脳内では神経伝達分子のひとつであり、脳天気分子とも言えましょうか?こころの平穏や気分に関係する脳内分子と考えられています。
うつ病(本ブログ参照)になって自殺した方の脳ではセロトニンレベルの低下、シナプスで放出されたセロトニンを再取り込みするセロトニントランスポーター(図、中央)の低下、またセロトニン受容体レベルの異常などが報告されています。
現在使用されている薬の多くは、図の神経細胞間のシナプスから放出されたセロトニンのセロトニントランスポーターを介したリアップテイクを阻害する事によって、症状を改善する、というものです。
しかしながら、どれも副作用が強く完治が望めません。
最近、脳内セロトニンレベルを決める律速酵素(図、上)であるトリプトファンヒドロキシラーゼ遺伝子の発現制御機構(参考)や本酵素のSNP(参考)の新事実が報告されました。
これらの機構にリンクして発症を導くであろう分子の解明や同定が期待されます。
ひとりひとりに適した薬剤を開発するにはセロトニン代謝に関する酵素たんぱく質の遺伝子のSNP(本ブログ参照)の解析やコンピューター・シミュレーション法によるバイオインフォマテイックスで新たな手がかりを得ることが重要です。

私は、五大疾病について厚労省のみならず多方面でこれまでとは違う観点を感じます。
それは、これらの病気がみな日々の生活習慣に基づく、ということが強調されていることです。
すなわち健康については、自己管理力が問われるものであり、それに期待する、というわけです。
私たちは都市化を進め便利さを求め、生命の生理・リズムをないがしろにした生活や働き方をしてきてしまいました。
科学的なシステムに乗っ取って個人が継続的に健康状態をチェック出来るようになると良いですね。
2010年11月01日
紫式部はアントレプレナー第一号?

秋雨で紫式部がたわわに、実がいっそう紫を増しました。
園芸店で売られている紫式部は、小式部(和泉式部の娘)が本名で、山野で見かける、実が少なく質素な感じの方が本当の紫式部とのことです。
清少納言が紫式部のライバルのように思われますが、実は、宮廷で同じ中宮彰子に仕え、既に和歌の才能を発揮していた和泉式部(36歌仙の一人)が、紫式部のライバルでした(図、参照)。
いずれも娘をつれてのご奉公ですが、和泉式部親子は、貴公子達の人気の的で、恋多き女性、として有名です。
思えば、私は、「古典はコテ~ン、コッテン」とか言いながら、文系組に教科書を抱えて移動、しかし授業中の頭の中は、いつも方程式の解を求めていました。が、どうでも良いことは、しっかり頭にあります。
紫式部は不美人、頼りの父親も越前に下向させられ、晩婚に、そして高齢出産。
高齢な夫は直ぐ亡くなりシングルマザーに、こういうわけで、頭は良いのだが職が見つからないーーなどなど。
ところが、紫式部は小さい時から物覚えが良く、当時男子だけの学問であった漢籍に長けていたため、名が知れ渡り、やがて宮廷の教育係りへと参内することとなります。

藤原道長は、その権力を文化の育成にも大いに発揮します。
時は、摂政関白の時代、朝廷政治にも参入すべく藤原道長は、一条天皇には、中宮定子という后がいるにもかかわらず、自分の長女の彰子(しょうし)を、一条天皇の后として入内させます(図、参照)。
道長は、枕草子で有名な才女、清少納言を抱えている中宮定子に負けじと、中宮彰子には、漢詩、漢学に目聡い、紫式部を房のブレインとしてスカウトするのです。
宮廷に仕える、中、下流貴族出身の女房達は、家督の栄光のためにも、また女官へのステップアップのためにも、男性の学問である仏典や漢詩に研鑽します。
そして、漢語を日本でアレンジした、仮名、で和歌やものを書きはじめ、競って能力をアピールすべく、女性が元気な時代を作りはじめたのです。
こうして平安中期(1000年)には、女流日記文学が花開きます。
宮廷の様子を書いた清少納言の「枕草子」、藤原道綱の母による、多くの妻を持つ夫(兼家)への長嘆息であり、通い婚制度への批判ともみられる自伝「蜻蛉日記」、菅原孝標の娘による、源氏物語をまねた回想録的フィクション小説である「更級日記」、宮廷の恋愛小説である「和泉式部日記」があります。
これらは日記と言えども、今の日記にあらず、必ずや女性の立場に、視点がおかれています。
さて、紫式部の書いた「源氏物語」は、と言いますと、道長は、紫式部の才を認めていましたので、女房の部屋にやってきては作品を促します。
この点が、あふれ出る思いを綴る、他の女性の作品と違います。
当時の恋愛は、貴婦人は、人前には顔を見せないことが奥ゆかしいことでしたので、中将たちはその後姿に恋焦がれ、女房にキューピット役を頼む、というパターンでした。
ですから、女房の間では、あらゆる貴公子達の恋愛の話に尽き果つことがありません。
貴公子、光源氏の恋愛話は、当然ながら、女房の間で人気の的。その面白楽しさを伝えようと、書き写されて、読み回しもなされます。
しかし、紙や墨は高価なもので、簡単には手に入りません。そのサポーターとなったのが財ある道長でした。
物書き、と言うのは、自分が書きたいから書く、はずです。
が、紫式部は特化した才能と、道長というパトロンを得て、自ずと文筆の新起業家となったに違いありません。
<宮中キャリアーにパトロンの後押し>
道長は、「あっち(中宮定子)が随筆(枕草子)なら、こっち(娘の中宮彰子)は小説だ(源氏物語)!」とばかりに、房を増設したり、才女には、その世話係りまでも雇ってあげたりして、思う存分執筆の仕事をさせてあげたようです。
むろん、宮廷の房、というサロンが、才女達の作品発表の場として、拡充されました。
遂に!!サロンには、文学が趣味の一条天皇も足繁く通い始めーーー道長はシメシメ。
紫式部は、こうして権力者達に気に入られ、執筆に拍車が掛かります。才能あるが故ですね。
54帖という世界一長い小説となったのは、道長が紫式部に「もっと書け、もっと書け」とーーー、さもありなんです。
そういえば、研究・論文の仕事もまさに個人事業主的です。
パトロン道長のような研究室もあったかも~~
さて、一昨年が、源氏物語千年紀。
夜もすがらの王朝貴族たちの雅な?社会と政略闘争の背後に、私は、女性新起業家の捗捗しい台頭を感じます。
<起業の成功>
紫式部に問はずとも、起業家の成功に必要なものは、才能、ファンド、マーケット、ですね。
ファンドといえば、欧米では、寄付者の名の付いた文化施設や大学のファウンデーションが沢山あります。
日本の隠れ大金持ちの、社会貢献事業や文化創出のための寄付・基金への志しは、藤原道長と較べずとも、希薄と言わざるをえません。
エンジェルさんが増えて欲しいですね。
えっ、「早く、自分で起業を成功させて、そうなれ!」、天の声??かしら、んん。
2010年10月20日
新参ブロガーのあれ・これ
<教え:その人間を、説明すること。。。>
ブログをはじめてまだ、3ヶ月ほどです。
社会的起業・三鷹コンソーシアムにおける講座で、作成法を学びました。
授業で先生は、「お客様の信頼に足る人間である、それを理解して貰うように、日々の自分の顔を示す、のです」と、おっしゃられました。
仕事の言葉をとおして、自分の顔を浮きあがらせる、とは、芸術作品にも劣らぬ、高尚な営みに感じられました。
<スタイルは、ひとそれぞれ>
塾仲間のブログを訪問してみますと、情報提供型(起業の計画・実践の報告)と、文化創造的なもの(創作品の提示、経験・考えの表明)の二つに分けられます。
私は、しばらくは、生き物としての人間、や健康の維持について、新たな認識や課題を掘り起こせるような、そんなページにしたい、と思いました。
方針は、そのときどきに湧き出た考えを、大題目、小題目に分ける。
きっと訪問者は、題目から文章に目を移し、そして次に、添付図や表、リンクした文献などに目を通す。
そして、私の至らない点について、コメントをして、最後に、庭の可愛い花の写真を見て、お口直しを~~。
書いて、互いに訪問、そしてコメントし合って交流、これがブログの基本でしょうか。
お会いしたことが有る方からのコメントは、また一段と、想像が膨らみ、脳の健康に良い気がいたします。
<はっ!とする、はっ!とさせるブログにーー>
ネットについては、「3次情報なんて、時間の無駄ョ」の友達もいます。
しかし、情報の相互伝達の速度や情報量は、ネットのメディアの右に出るものはありません。
訪問をすれば、文殊の知恵が、そこ、ここに瞬いています。
書き立てのブログは、思いが溢れ、気がついたら文字の洪水ーーということもありました。
どのように使うのも自由なブログですが、何らかの意味で読者のためになる、という意識を持って書くセンスは、大切にすべきですね。
ブログの世界にまず一歩、その結果、人は如何に多様なものであるか、という深い認識を得ました。
それゆえに、私には、不思議なエネルギーが、吹き込んで来ます。
<日ごとの糧>
現代社会が今日まで発展したのは、ヒトが言葉を獲得して、思考が出来るようになったからです。
思考したことを記憶(脳内と脳外)出来るようになると、洞察力が深まり、自ずと文明が開花しました。
言語と洞察と知は、同じヒト科で、私達と遺伝子が2%しか違わないチンパンジーでさえも、今後、獲得する可能性は無いでしょう。
私達だけの、素晴らしい能力です。
小学校で、「縄文・弥生時代の人々は、まだ文字というものが無く、口伝え文化であった」と、教わりました。
「日本人は、記憶力が凄いんだ!」と、びっくりしたものです。
大陸から漢字が伝わると、やがて、日本人は漢字とかなの二重言語を発明して、他に類を見ない、豊かな表現が出来るようになりました。
当然ながら、日本人の精神構造も、特異なものとなりました。翻って、昨今では、あいまいな日本人、もたれ合い精神、という言葉まで耳にします。
さて私の、もたれブログの今後は?
1たす1は、100、のような輪の広がりを、夢見ています。
ウルトラ・ビギナーのブログ観でした。

右の怖そうな実は、夏に咲いた、あの白い、優しい花(8月12日、記)のものです。
もうじき、パカッと、口が割れ、種が大地に、広がります。
ブログをはじめてまだ、3ヶ月ほどです。
社会的起業・三鷹コンソーシアムにおける講座で、作成法を学びました。
授業で先生は、「お客様の信頼に足る人間である、それを理解して貰うように、日々の自分の顔を示す、のです」と、おっしゃられました。
仕事の言葉をとおして、自分の顔を浮きあがらせる、とは、芸術作品にも劣らぬ、高尚な営みに感じられました。
<スタイルは、ひとそれぞれ>
塾仲間のブログを訪問してみますと、情報提供型(起業の計画・実践の報告)と、文化創造的なもの(創作品の提示、経験・考えの表明)の二つに分けられます。
私は、しばらくは、生き物としての人間、や健康の維持について、新たな認識や課題を掘り起こせるような、そんなページにしたい、と思いました。
方針は、そのときどきに湧き出た考えを、大題目、小題目に分ける。
きっと訪問者は、題目から文章に目を移し、そして次に、添付図や表、リンクした文献などに目を通す。
そして、私の至らない点について、コメントをして、最後に、庭の可愛い花の写真を見て、お口直しを~~。
書いて、互いに訪問、そしてコメントし合って交流、これがブログの基本でしょうか。
お会いしたことが有る方からのコメントは、また一段と、想像が膨らみ、脳の健康に良い気がいたします。
<はっ!とする、はっ!とさせるブログにーー>
ネットについては、「3次情報なんて、時間の無駄ョ」の友達もいます。
しかし、情報の相互伝達の速度や情報量は、ネットのメディアの右に出るものはありません。
訪問をすれば、文殊の知恵が、そこ、ここに瞬いています。
書き立てのブログは、思いが溢れ、気がついたら文字の洪水ーーということもありました。
どのように使うのも自由なブログですが、何らかの意味で読者のためになる、という意識を持って書くセンスは、大切にすべきですね。
ブログの世界にまず一歩、その結果、人は如何に多様なものであるか、という深い認識を得ました。
それゆえに、私には、不思議なエネルギーが、吹き込んで来ます。

現代社会が今日まで発展したのは、ヒトが言葉を獲得して、思考が出来るようになったからです。
思考したことを記憶(脳内と脳外)出来るようになると、洞察力が深まり、自ずと文明が開花しました。
言語と洞察と知は、同じヒト科で、私達と遺伝子が2%しか違わないチンパンジーでさえも、今後、獲得する可能性は無いでしょう。
私達だけの、素晴らしい能力です。
小学校で、「縄文・弥生時代の人々は、まだ文字というものが無く、口伝え文化であった」と、教わりました。
「日本人は、記憶力が凄いんだ!」と、びっくりしたものです。
大陸から漢字が伝わると、やがて、日本人は漢字とかなの二重言語を発明して、他に類を見ない、豊かな表現が出来るようになりました。
当然ながら、日本人の精神構造も、特異なものとなりました。翻って、昨今では、あいまいな日本人、もたれ合い精神、という言葉まで耳にします。
さて私の、もたれブログの今後は?
1たす1は、100、のような輪の広がりを、夢見ています。
ウルトラ・ビギナーのブログ観でした。

右の怖そうな実は、夏に咲いた、あの白い、優しい花(8月12日、記)のものです。
もうじき、パカッと、口が割れ、種が大地に、広がります。
2010年09月08日
猫の日本語!科学になる日は--
<女性社長の言葉にドッキン>
三鷹起業塾の講義の中で、在宅女性を生かす会社を起こして、成功なさった女性社長がおっしゃいました。
「起業など考える前に、お隣りの前も掃除する、近所の方には先に笑顔で挨拶をする、その方が大切です」と。
それほどに、事業の成功には人と人との関係が大きいということなのですね。
私は、お隣りに吹き溜まる、我が家の落ち葉を掃く、のは当然と思っていました。
早朝、日課である花の水遣りをしていますと、よく散歩の猫に出会います。
それからは、私は大きな声で「おはよう」と言います。
私の顔をしっかりと見て、中猫なのに子猫のような声で、「ニャーオ」と応えます。
その眼差しに、清々しい一日がはじまるようになりました。
<無意識の世界>
ある朝、三軒先の角から、その猫が猛烈な勢いでダッシュしてきました。
驚いたのは、しじまの朝に、こだまするが如き、ぱかっぱかっというまるで馬のひずめのような大きな音です。
私の脳では、猫のぽっちゃり肉球とアスファルト、馬のひずめの画像が交互に浮かび、そして、どうして肉球なのにこんな大きなひずめの音がするのだろう、なぜだろう、と、わずか数秒の間、頭を捻っていました。
3m手前で急停車したかと思うや、何と、猫は私を見上げて、「走っちゃいました」と言ったのです。
びっくり仰天して猫を見つめれば、何か秘めた、恥らうような、とまどうような顔付きでもありました。
明らかに、私が猫の顔付きを認知した後に、私の脳に、「走っちゃいました」、という言葉が出現したのではありません。
最近の研究で、霊長類では脳にミラーニューロンという神経細胞があり、鏡のようなシステムによって、同種で観察した行動を自分の脳内でシュミレート出来る、と言われています。
私の脳は猫の脳レベル??
それにしても、お早よう、なら分かりますが、それはおよそ私が思いつかない、使うことがない言葉使いです。未知なる世界ですね。
このミラーニューロンのシステムは、共感する心や言語能力の発達との関係があると示唆されています。
他者を理解出来ない心の疾患では、このシステムが低下しているともいわれ、今後の解明が重要です。
今回の猫とのこと、科学するにはまだ時間が必要、おこがましく感じますが、書いちゃいました(猫のまねです)。
<頼れるのは脳ばかりーー>
先に、私は、<脳の不思議な力>、数秒間の脳が救った塾長の命、について書きました(記、8月21日)。
また昨日は、副塾長が「八方塞がりも、熟慮と情報、そして寝て待てば解決する」と、脳の素晴らしさ?をブログに書かれました。
健康なら何でも乗り切れるのですね。
猫とではあらず、face to faceでこそ、商談も成功し、そして、眠ったあとは、第六感やひらめきによって、更なる飛躍が得られる!!
本当に、脳の素晴らしさを感じ合える社会でありたいですね。
ですから、私は、人々の健康維持が持続出来ますように、現代科学の力をもってして、尽力したいと思います。
三鷹起業塾の講義の中で、在宅女性を生かす会社を起こして、成功なさった女性社長がおっしゃいました。
「起業など考える前に、お隣りの前も掃除する、近所の方には先に笑顔で挨拶をする、その方が大切です」と。
それほどに、事業の成功には人と人との関係が大きいということなのですね。
私は、お隣りに吹き溜まる、我が家の落ち葉を掃く、のは当然と思っていました。
早朝、日課である花の水遣りをしていますと、よく散歩の猫に出会います。
それからは、私は大きな声で「おはよう」と言います。
私の顔をしっかりと見て、中猫なのに子猫のような声で、「ニャーオ」と応えます。
その眼差しに、清々しい一日がはじまるようになりました。
<無意識の世界>
ある朝、三軒先の角から、その猫が猛烈な勢いでダッシュしてきました。
驚いたのは、しじまの朝に、こだまするが如き、ぱかっぱかっというまるで馬のひずめのような大きな音です。
私の脳では、猫のぽっちゃり肉球とアスファルト、馬のひずめの画像が交互に浮かび、そして、どうして肉球なのにこんな大きなひずめの音がするのだろう、なぜだろう、と、わずか数秒の間、頭を捻っていました。
3m手前で急停車したかと思うや、何と、猫は私を見上げて、「走っちゃいました」と言ったのです。
びっくり仰天して猫を見つめれば、何か秘めた、恥らうような、とまどうような顔付きでもありました。
明らかに、私が猫の顔付きを認知した後に、私の脳に、「走っちゃいました」、という言葉が出現したのではありません。
最近の研究で、霊長類では脳にミラーニューロンという神経細胞があり、鏡のようなシステムによって、同種で観察した行動を自分の脳内でシュミレート出来る、と言われています。
私の脳は猫の脳レベル??
それにしても、お早よう、なら分かりますが、それはおよそ私が思いつかない、使うことがない言葉使いです。未知なる世界ですね。
このミラーニューロンのシステムは、共感する心や言語能力の発達との関係があると示唆されています。
他者を理解出来ない心の疾患では、このシステムが低下しているともいわれ、今後の解明が重要です。
今回の猫とのこと、科学するにはまだ時間が必要、おこがましく感じますが、書いちゃいました(猫のまねです)。
<頼れるのは脳ばかりーー>
先に、私は、<脳の不思議な力>、数秒間の脳が救った塾長の命、について書きました(記、8月21日)。
また昨日は、副塾長が「八方塞がりも、熟慮と情報、そして寝て待てば解決する」と、脳の素晴らしさ?をブログに書かれました。
健康なら何でも乗り切れるのですね。
猫とではあらず、face to faceでこそ、商談も成功し、そして、眠ったあとは、第六感やひらめきによって、更なる飛躍が得られる!!
本当に、脳の素晴らしさを感じ合える社会でありたいですね。
ですから、私は、人々の健康維持が持続出来ますように、現代科学の力をもってして、尽力したいと思います。

2010年09月02日
ヘルスケアのベンチャーは花盛り?
<ヒトの恒常性維持>
生き続ける、ということは外界の変化(刺激)に上手く対応して、恒常性を維持出来る、ということです。
外からの刺激はまず、五感(視、嗅、味、触、聴覚)の神経を通して脳幹部(延髄、橋、中脳、視床下部、視床)や大脳に伝えられます。
そこでは複雑な神経回路網によって情報の処理と統合が行われ、その結果、身体運動のコントロールや、認識や思考などの精神活動のための指令が出されます。
しかし、脳の営みには脳の分子以外も大きく関わリます。

上の図は、身体の各機能は、ホルモンなどの微量で効く生体物質によって相互に調節し合っている、仕組みを表しています。
ストレスや精神的変化があると、脳は直ぐに、視床下部ー下垂体に影響を及ぼします。
そこでは生命を守るべく、ホルモンの産生によって応答し、直ぐ傍の血管中に分泌させ、ホルモンの血中バランスを変化させます。
その変化は血中の免疫系細胞のみならず、全身を巡り巡って、また脳神経系や免疫系や分泌系や内臓機能に影響します。
このように各システムは互いに、微量の特異な物質によって情報を交換し、恒常性維持に努めています。
<ストレスに勝てる体内コミュニケーション力をアップするにはーー>
仕事は主に筋肉運動だった、のどかな社会?では、たとえストレスなことがあっても、好物を食べて(飲んで)一晩寝れば、心地よい朝が迎えられて仕事に励むことが出来ました。
しかしながら、極度に複雑化した、情報過多な社会では、安定した精神状態や健康な体を保つことは容易ではなくなってしまいました。
では、この身体の乱れを整えるべく業はあるのでしょうか?
答えは、どんな刺激にも対応出来る、繊細な神経を沢山作ること、かもしれませんね。
さて、みたか第一期起業塾では、繊細な神経を磨くべく、「身体と脳の調和の実践(丸山の解釈)」の起業を目指された方が沢山いらっしゃいました。従って、この種の起業は、現代に根ざす社会的そして身体的ニーズの落とし胤ではないでしょうか。
そこでは、ヨガによるバランス育成のIさん、音楽という聴覚刺激から脳の統合的活性化を目指すUさん、ツボ刺激やリンパの滞りを解消するOさんやTさん、そして自然な体を作ろう、のYさんでした(ちなみに全員女性!です)。
ツボ刺激(丸山の解釈は交感神経と副交感神経の選択的特異刺激)のみならず、皮膚から脳への神経刺激や接触感や快感などへの意識集中のエキササイズは、まさに身体と脳神経のコミュニケーション力を高めるものに違いありません。
<脳機能に関与する物質の測定開発に挑む>
最後に私の宣伝です。
なぜ私が血液検査の研究開発型起業に挑むのか、について簡単に書かせて頂きます。

上図は脳や免疫系、分泌系が血液の循環を通して互いにコミュニケーションしていることを示しています。
私はこの、生物の複雑な統合的な働きを考えるほどに、血中にある微量の分子のレベル変化をいち早く知ることが、人々の健康指標として、なくてはならないこと、と思いようになりました(参考文献)。
そこで私は、検査試薬の技術開発と製品の創造に尽力しよう、と決意しました。
なお、身体における、この連携の分子メカニズムの解明は、特に新薬の開発では、今後極めて重要となることはいうまでもありません。
生き続ける、ということは外界の変化(刺激)に上手く対応して、恒常性を維持出来る、ということです。
外からの刺激はまず、五感(視、嗅、味、触、聴覚)の神経を通して脳幹部(延髄、橋、中脳、視床下部、視床)や大脳に伝えられます。
そこでは複雑な神経回路網によって情報の処理と統合が行われ、その結果、身体運動のコントロールや、認識や思考などの精神活動のための指令が出されます。
しかし、脳の営みには脳の分子以外も大きく関わリます。

上の図は、身体の各機能は、ホルモンなどの微量で効く生体物質によって相互に調節し合っている、仕組みを表しています。
ストレスや精神的変化があると、脳は直ぐに、視床下部ー下垂体に影響を及ぼします。
そこでは生命を守るべく、ホルモンの産生によって応答し、直ぐ傍の血管中に分泌させ、ホルモンの血中バランスを変化させます。
その変化は血中の免疫系細胞のみならず、全身を巡り巡って、また脳神経系や免疫系や分泌系や内臓機能に影響します。
このように各システムは互いに、微量の特異な物質によって情報を交換し、恒常性維持に努めています。
<ストレスに勝てる体内コミュニケーション力をアップするにはーー>
仕事は主に筋肉運動だった、のどかな社会?では、たとえストレスなことがあっても、好物を食べて(飲んで)一晩寝れば、心地よい朝が迎えられて仕事に励むことが出来ました。
しかしながら、極度に複雑化した、情報過多な社会では、安定した精神状態や健康な体を保つことは容易ではなくなってしまいました。
では、この身体の乱れを整えるべく業はあるのでしょうか?
答えは、どんな刺激にも対応出来る、繊細な神経を沢山作ること、かもしれませんね。
さて、みたか第一期起業塾では、繊細な神経を磨くべく、「身体と脳の調和の実践(丸山の解釈)」の起業を目指された方が沢山いらっしゃいました。従って、この種の起業は、現代に根ざす社会的そして身体的ニーズの落とし胤ではないでしょうか。
そこでは、ヨガによるバランス育成のIさん、音楽という聴覚刺激から脳の統合的活性化を目指すUさん、ツボ刺激やリンパの滞りを解消するOさんやTさん、そして自然な体を作ろう、のYさんでした(ちなみに全員女性!です)。
ツボ刺激(丸山の解釈は交感神経と副交感神経の選択的特異刺激)のみならず、皮膚から脳への神経刺激や接触感や快感などへの意識集中のエキササイズは、まさに身体と脳神経のコミュニケーション力を高めるものに違いありません。
<脳機能に関与する物質の測定開発に挑む>
最後に私の宣伝です。
なぜ私が血液検査の研究開発型起業に挑むのか、について簡単に書かせて頂きます。

上図は脳や免疫系、分泌系が血液の循環を通して互いにコミュニケーションしていることを示しています。
私はこの、生物の複雑な統合的な働きを考えるほどに、血中にある微量の分子のレベル変化をいち早く知ることが、人々の健康指標として、なくてはならないこと、と思いようになりました(参考文献)。
そこで私は、検査試薬の技術開発と製品の創造に尽力しよう、と決意しました。
なお、身体における、この連携の分子メカニズムの解明は、特に新薬の開発では、今後極めて重要となることはいうまでもありません。

2010年08月16日
三鷹社会的起業コンソーシアムの修了

諸先生、スタッフの皆様のご尽力には、そして同志の皆様に、本当に感謝しております。
ヨットマンの使命は嵐を乗り切るべく舵を取ること、では社会的起業家は?
起業家の成功には、人に新規な情報を与えてくれる「弱い絆」や「関係の遠い知人」というネットワークの寄与があるそうです。ですから、それぞれ視点の異なったメンバーからなる今回の出会いは、かけがいの無いものかもしれませんね。
既に船出した方、凪を待つ方、石橋を叩いている方(私??)、柔らか脳で未来を築きましょう。
どうぞ、今後とも同ブログ、コミュ二テイネットワーク、同期会などで、引き続きご意見など何でも宜しくお願い致します。