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Posted by たまりば運営事務局 at

2011年09月30日

シミュレーション社会

<スイッチョも我が家に緊急避難!>
台風一過、何と居間に避難して来た‘馬老い’がスイッチョ,スイッチョと、安堵の歌声!!
しばらく滞在していました。

先週の15号は東京も凄まじい風雨だったのです。

テレビには刻々と進路や風速、雨量の数値が、さらにダムが決壊した洪水シミュレーションも映し出されました。そして次々と避難勧告が出されていきました。

警戒や避難が出来たのは気象衛星などからのリアルタイムのデータによるモデリングとシミュレーションのおかげですね。

<台風の発生とそのエネルギー>
南方の海上で太陽熱によって生じる上昇気流の水蒸気が凝結します。すると雲に変わり潜熱という熱を出します。さらに地球の自転の影響を受けてこの低気圧の中心付近に高温多湿の空気が反時計回りに吹き込みます。雲は積み重なり、上空が暖められてーーーを繰り返して台風は発達します(図の左)。

過去の実測値や経験をもとに確率統計学に頼っていた天気予報も今やスーパーコンピュータを用いたシミュレーション科学によってその精度が大きく向上しています。

しかも将来は地球温暖化によって熱帯低気圧の被害が増大する、というシミュレーション結果まで出ているようです。

台風のエネルギーは「台風の爪あと」といわれる様に、そのエネルギーは長崎・広島の原爆どころではない莫大なものです。
消滅させたり発電に利用できるようなシミュレーションが欲しいですね。

<ひらめきよりもスパコン?>
自分の人生は自分でシミュレーションします。
そして世界の将来はメデイアが世界金融恐慌とか日本破綻とかーー

実験科学者は休み無く、机上実験たる研究のシミュレーションを脳内で続けています。
でもたまに湧くひらめきに期待するよりはスパコンなのでしょうかーーー

確かに、実験に拠らない生体機能分子の理論的解析や高精度の数学的解析法を用いると人間の脳では思いもつかない新たな視点が与えられるのです。

サイクリックAMPはセカンドメッセンジャーと言われ神経細胞でも重要な細胞内情報分子です。酵素の連携を介した、細胞膜のマイクロドメインにおけるサイクリックAMPの細胞内でのダイナミズムがシミュレーションされました(参考)。

ところで健康管理や疾患のシミュレーションはどうでしょうか。
生体分子は常に外部からの摂動に応答しています。その要素の多さと複雑さの故にモデル化が極めて難しいのです。

<計算科学と医療>
いったい私たちの健康維持のために今後どのようにシミュレーション科学は貢献するのでしょうか(図の右)。
一人一人は違った遺伝子(参考、本ブログ)を持つのでその遺伝子産物が微妙に異なるだけでなく、各自の生活習慣の違いによっても代謝物質の種類と量は変わります。
それこそあなたを使った実験は不可能なことなのですし~

ですからまず臨床のデータを使いながら計算科学的に統合的な洞察を得ることが大切かもしれません。
または沢山の代謝分子を特定し沢山の疾患モデルを作り、何百万もの原子数の系を計算するソフトウェアの開発が必要かもしれません。

シミュレーションのためには必要な本質をきっちりと取り込んだモデルが必要です。そしてモデルの検証と最適化が繰り返されます。

とにかく超高齢化に向けて、認知症を防ぐべく脳機能低下の機序解明のためのシミュレーションが必須ですね。

最近、ストレスで増大するホルモンのコルチゾールと記憶の中枢である海馬の萎縮についてシミュレーション科学の立場からモデリングして数学的に解析がなされました。加齢では血中のコルチゾールのレベルが上がり12%も記憶が障害されると計算されました。特に65歳も過ぎるととたんに慢性的なコルチゾールの増大が記憶にも海馬の萎縮にも激しく悪影響するのでした(参考)。
アルツハイマー病のような加齢による認知症状を避けるにはコルチゾールレベルを上げないこと、即ちストレスのない穏やかな暮らしをせよ?ということでしょうか。




すずらんは春に咲くその花ばかりを愛でます(参考、本ブログ)。
ふと、足元の小さな実に目がいきました。
  

  • Posted by 丸山 悦子  at 23:49Comments(0)ベンチャーはアドベンチャー

    2011年09月09日

    世界は慢性疲労症候群!

    <名にし負はば逢坂山のーーー> 
    今年はフェンスのさねかずらのつるが切っても切ってもクルックルッとまるで誰かを連れて来たいかのように、空に向かって伸びています。

    初冬に真っ赤に熟すこの実かずらの実は疲労、滋養強壮の生薬として知られています。

    百人一首で三条右大臣(紫式部の曽祖父)は逢瀬を逢坂山の小寝かずらのつるに委ねています。

    それにしてもなぜか古のひとの千々に乱れる脳に疲労感は感じられません。

    もしや、五七五七七や豊富な掛詞を繰ることが脳を十分に活性化しているのかも知れませんね。

    <疲労のセンシング機構>
    ひと晩寝れば翌朝はすっきり。
    これがけっこう難しい世の中になってしまったようです。

    数ヶ月も疲労感が続くとそれは慢性疲労なのです。

    疲労が溜まり易い人は、責任感が強くて取り越し苦労の多いひと――私も?
    そして、本音を出さない人、とか――やっぱり私は違った?!

    真面目過ぎる人は疲労感がマスクされやすく、がむしゃらに働いてしまうので、挙句の果ては過労死になるそうです。
    ですので脳の各部位のネットワーク、すなわち神経系・内分泌系・免疫系・に表れる疲労のアラーム(図の脳)はしっかり受け止めないといけません。

    ところで最近は子供にも疲労が蔓延とかーー塾やおけいこ、PCに忙しく睡眠時間の減少が原因とのことです。一説には環境ホルモン(参考、本ブログ)に因るともーー。

    <疲労の実態>
    成長期にホルモンがアンバランスになると脳細胞の発達の設計図が壊れてしまいます。

    神経伝達物質、ホルモンそれに免疫細胞が出すサイトカイン、これらは似たもの同士なのですから受容体を間違えたら大変です!!

    若年者の慢性疲労症候群の研究で血液中のピルビン酸のレベル(細胞のエネルギー産生力に関連する分子)やホルモン、深層体温のリズムなどに異常がある、と報告されています(参考)。

    疲労の血中マーカー分子としてCoQ10が報告されています。

    CoQ10は、細胞内にあるミトコンドリアの中でエネルギーの産生を司る分子であり抗酸化活性を持ちます。
    慢性疲労症候群の患者の血液で低下が認められるので、ストレスによって身体が過酸化の状態にある、と考えられています。
    CoQ10が強く低下している慢性疲労症候群患者では集中力と記憶力の障害も明らかでした(参考)。

    疲労の症状は個々人であまりに異なりますので、血液中の分子レベルの変化によって早期発見が出来ることを望みます。

    <疲労の社会的損失>
    厚労省の調査によると、疲労感に苛むひとの数は年々増加しており、慢性疲労による経済損失は一兆円以上にもなる、とのことです。
    慢性疲労は業務能力の低下のみならずうつ病(参考、本ブログ)などの精神疾患に至ることもありますから、それらの治療費も含めると極めて多大な損失となります。

    先日のニュースで、欧州EUにおいても疲労による心の病と神経疾患で10兆円以上の社会損失となる、という研究結果が報告されました。

    早急に、ストレスやリラクゼーション具合を評価できる指標の確立と、そして年齢でなく個々人のレベルを推し量れる、経年調査システムの構築を行なって予防したいものです。

    キレたり、ハイになったり、ハマッたり、私たちの脳は極めてフレキシブルです。
    取りあえずはペットとかアロマ、運動などの自分に合った疲労解消法を見つけたいですね。

    そして、疲労困憊の世界経済の治療法も早く見つかって欲しいのです~~

      

  • Posted by 丸山 悦子  at 22:58Comments(0)長寿健康社会