2011年09月09日
世界は慢性疲労症候群!

今年はフェンスのさねかずらのつるが切っても切ってもクルックルッとまるで誰かを連れて来たいかのように、空に向かって伸びています。
初冬に真っ赤に熟すこの実かずらの実は疲労、滋養強壮の生薬として知られています。
百人一首で三条右大臣(紫式部の曽祖父)は逢瀬を逢坂山の小寝かずらのつるに委ねています。
それにしてもなぜか古のひとの千々に乱れる脳に疲労感は感じられません。
もしや、五七五七七や豊富な掛詞を繰ることが脳を十分に活性化しているのかも知れませんね。
<疲労のセンシング機構>
ひと晩寝れば翌朝はすっきり。
これがけっこう難しい世の中になってしまったようです。
数ヶ月も疲労感が続くとそれは慢性疲労なのです。
疲労が溜まり易い人は、責任感が強くて取り越し苦労の多いひと――私も?
そして、本音を出さない人、とか――やっぱり私は違った?!

ですので脳の各部位のネットワーク、すなわち神経系・内分泌系・免疫系・に表れる疲労のアラーム(図の脳)はしっかり受け止めないといけません。
ところで最近は子供にも疲労が蔓延とかーー塾やおけいこ、PCに忙しく睡眠時間の減少が原因とのことです。一説には環境ホルモン(参考、本ブログ)に因るともーー。
<疲労の実態>
成長期にホルモンがアンバランスになると脳細胞の発達の設計図が壊れてしまいます。
神経伝達物質、ホルモンそれに免疫細胞が出すサイトカイン、これらは似たもの同士なのですから受容体を間違えたら大変です!!
若年者の慢性疲労症候群の研究で血液中のピルビン酸のレベル(細胞のエネルギー産生力に関連する分子)やホルモン、深層体温のリズムなどに異常がある、と報告されています(参考)。
疲労の血中マーカー分子としてCoQ10が報告されています。
CoQ10は、細胞内にあるミトコンドリアの中でエネルギーの産生を司る分子であり抗酸化活性を持ちます。
慢性疲労症候群の患者の血液で低下が認められるので、ストレスによって身体が過酸化の状態にある、と考えられています。
CoQ10が強く低下している慢性疲労症候群患者では集中力と記憶力の障害も明らかでした(参考)。
疲労の症状は個々人であまりに異なりますので、血液中の分子レベルの変化によって早期発見が出来ることを望みます。
<疲労の社会的損失>
厚労省の調査によると、疲労感に苛むひとの数は年々増加しており、慢性疲労による経済損失は一兆円以上にもなる、とのことです。
慢性疲労は業務能力の低下のみならずうつ病(参考、本ブログ)などの精神疾患に至ることもありますから、それらの治療費も含めると極めて多大な損失となります。
先日のニュースで、欧州EUにおいても疲労による心の病と神経疾患で10兆円以上の社会損失となる、という研究結果が報告されました。
早急に、ストレスやリラクゼーション具合を評価できる指標の確立と、そして年齢でなく個々人のレベルを推し量れる、経年調査システムの構築を行なって予防したいものです。
キレたり、ハイになったり、ハマッたり、私たちの脳は極めてフレキシブルです。
取りあえずはペットとかアロマ、運動などの自分に合った疲労解消法を見つけたいですね。
そして、疲労困憊の世界経済の治療法も早く見つかって欲しいのです~~
Posted by 丸山 悦子 at 22:58│Comments(0)
│長寿健康社会