2011年07月17日
「五大疾病」に精神疾患が加わる
<社会構造の変化でうつ病>
このたび厚労省は、新たに精神疾患も加えた「5大疾病」について重点対策を示しました。
2006年には上位死亡順である、がん、心疾患、脳血管疾患の「3大疾患」に糖尿病を加えて「四大疾病」としていました。
戦後間もない、1935年には死因の第一位は結核でした。
極めて多くの方が結核菌に感染して亡くなったのです。
それにしてもいったい誰が将来、精神疾患が国民病になると想像したことでしょう。
精神疾患の増大が意味することを今こそ、しっかり考えるべき時はないような気がしてなりません。
<社会不安と自殺>
何とこの十三年、自殺者数が連続3万人を突破し続けている、とのことです。
特に1998年の世界金融危機と2008年のリーマンショック以来の国内不況はうつ病と自殺リスクを非常に高めてしまい、一刻も早い社会経済の不安状況からの脱出が叫ばれています。
自殺者はリストラや就職の失敗などを背景に持ち、さらに「失業」「生活苦」「借金」「うつ病」などさまざまな要因が連鎖することが多いといわれています。
ある社会分析では、生活環境による諸問題と家系的遺伝子の変異(SNP)(本ブログ参照)などに加えて、本人の問題解決能力の低さが関連する、という洞察もなされました。
ですから昨今は、企業の採用でもその人の問題解決能力が重視されているようです。
巷では一時、鈍感力や能天気を賛美するような空気を感じたものですがーー
私たちの毎日はとかく逃げたいことばかり、学校、職場、家庭でのプレッシャーなど―――。
どうも難題解決より前に、課題に取り組めるこころの余力?がまず必要のように思われます。
こころが日本晴れ!そんな日を夢見て頑張るのが人生かもーーーそういう私は脳天気?
<自殺の要因分子、セロトニン>
はるか昔、私の脳研究へのきっかけは偶然に紐解いたうつ病のセロトニン仮説に関する神経薬理化学の単行本でした。
それは神経シナプスにおけるセロトニンのリアップテイクの仕組みを説明していました。
今なお、うつ病は其の仮説の域を出ないようですね。
セロトニンは脳内では神経伝達分子のひとつであり、脳天気分子とも言えましょうか?こころの平穏や気分に関係する脳内分子と考えられています。
うつ病(本ブログ参照)になって自殺した方の脳ではセロトニンレベルの低下、シナプスで放出されたセロトニンを再取り込みするセロトニントランスポーター(図、中央)の低下、またセロトニン受容体レベルの異常などが報告されています。
現在使用されている薬の多くは、図の神経細胞間のシナプスから放出されたセロトニンのセロトニントランスポーターを介したリアップテイクを阻害する事によって、症状を改善する、というものです。
しかしながら、どれも副作用が強く完治が望めません。
最近、脳内セロトニンレベルを決める律速酵素(図、上)であるトリプトファンヒドロキシラーゼ遺伝子の発現制御機構(参考)や本酵素のSNP(参考)の新事実が報告されました。
これらの機構にリンクして発症を導くであろう分子の解明や同定が期待されます。
ひとりひとりに適した薬剤を開発するにはセロトニン代謝に関する酵素たんぱく質の遺伝子のSNP(本ブログ参照)の解析やコンピューター・シミュレーション法によるバイオインフォマテイックスで新たな手がかりを得ることが重要です。
<健康の自己管理>
私は、五大疾病について厚労省のみならず多方面でこれまでとは違う観点を感じます。
それは、これらの病気がみな日々の生活習慣に基づく、ということが強調されていることです。
すなわち健康については、自己管理力が問われるものであり、それに期待する、というわけです。
私たちは都市化を進め便利さを求め、生命の生理・リズムをないがしろにした生活や働き方をしてきてしまいました。
科学的なシステムに乗っ取って個人が継続的に健康状態をチェック出来るようになると良いですね。
このたび厚労省は、新たに精神疾患も加えた「5大疾病」について重点対策を示しました。
2006年には上位死亡順である、がん、心疾患、脳血管疾患の「3大疾患」に糖尿病を加えて「四大疾病」としていました。
戦後間もない、1935年には死因の第一位は結核でした。
極めて多くの方が結核菌に感染して亡くなったのです。
それにしてもいったい誰が将来、精神疾患が国民病になると想像したことでしょう。
精神疾患の増大が意味することを今こそ、しっかり考えるべき時はないような気がしてなりません。
<社会不安と自殺>
何とこの十三年、自殺者数が連続3万人を突破し続けている、とのことです。
特に1998年の世界金融危機と2008年のリーマンショック以来の国内不況はうつ病と自殺リスクを非常に高めてしまい、一刻も早い社会経済の不安状況からの脱出が叫ばれています。
自殺者はリストラや就職の失敗などを背景に持ち、さらに「失業」「生活苦」「借金」「うつ病」などさまざまな要因が連鎖することが多いといわれています。
ある社会分析では、生活環境による諸問題と家系的遺伝子の変異(SNP)(本ブログ参照)などに加えて、本人の問題解決能力の低さが関連する、という洞察もなされました。
ですから昨今は、企業の採用でもその人の問題解決能力が重視されているようです。
巷では一時、鈍感力や能天気を賛美するような空気を感じたものですがーー
私たちの毎日はとかく逃げたいことばかり、学校、職場、家庭でのプレッシャーなど―――。
どうも難題解決より前に、課題に取り組めるこころの余力?がまず必要のように思われます。
こころが日本晴れ!そんな日を夢見て頑張るのが人生かもーーーそういう私は脳天気?

はるか昔、私の脳研究へのきっかけは偶然に紐解いたうつ病のセロトニン仮説に関する神経薬理化学の単行本でした。
それは神経シナプスにおけるセロトニンのリアップテイクの仕組みを説明していました。
今なお、うつ病は其の仮説の域を出ないようですね。
セロトニンは脳内では神経伝達分子のひとつであり、脳天気分子とも言えましょうか?こころの平穏や気分に関係する脳内分子と考えられています。
うつ病(本ブログ参照)になって自殺した方の脳ではセロトニンレベルの低下、シナプスで放出されたセロトニンを再取り込みするセロトニントランスポーター(図、中央)の低下、またセロトニン受容体レベルの異常などが報告されています。
現在使用されている薬の多くは、図の神経細胞間のシナプスから放出されたセロトニンのセロトニントランスポーターを介したリアップテイクを阻害する事によって、症状を改善する、というものです。
しかしながら、どれも副作用が強く完治が望めません。
最近、脳内セロトニンレベルを決める律速酵素(図、上)であるトリプトファンヒドロキシラーゼ遺伝子の発現制御機構(参考)や本酵素のSNP(参考)の新事実が報告されました。
これらの機構にリンクして発症を導くであろう分子の解明や同定が期待されます。
ひとりひとりに適した薬剤を開発するにはセロトニン代謝に関する酵素たんぱく質の遺伝子のSNP(本ブログ参照)の解析やコンピューター・シミュレーション法によるバイオインフォマテイックスで新たな手がかりを得ることが重要です。

私は、五大疾病について厚労省のみならず多方面でこれまでとは違う観点を感じます。
それは、これらの病気がみな日々の生活習慣に基づく、ということが強調されていることです。
すなわち健康については、自己管理力が問われるものであり、それに期待する、というわけです。
私たちは都市化を進め便利さを求め、生命の生理・リズムをないがしろにした生活や働き方をしてきてしまいました。
科学的なシステムに乗っ取って個人が継続的に健康状態をチェック出来るようになると良いですね。
Posted by 丸山 悦子 at 22:22│Comments(0)
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