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2010年11月14日

ヘルスケア: カロリー制限で寿命の延長

<認知症の予防とそのメカニズム>
日本では超高齢化が進み、老化による脳疾患が増大して、大きな社会問題となっています。

老化による脳神経系のダメージは、本人の自立した生活を奪うばかりでなく、精神障害も起こしますので、周りの方も大変です。

未だ、脳機能障害の治療法は解決していませんので、若い時から「予防」することが極めて重要です。

ところで、脳神経系のダメージは、どのように生じて、どうしたら、防げるのでしょうか。

老化による脳疾患、パーキンソン病(PD)や筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)および脳梗塞は、主に、酸化ストレスが関与していることが知られています。

酸化ストレスとは、生体内で生じた活性酸素などによる酸化力が体内の抗酸化力を上回った状態のことです。

酸化ストレスは、脂質、蛋白質、糖、核酸などを酸化変性させ、細胞機能を障害したり、炎症反応を誘起したりします。

脳は、脂質に富むため、酸化損傷されやすく、酸化ストレスが亢進しやすい組織なのです。

従って、いろいろな抗酸化物質や抗炎症物質が含まれている野菜や果物を食べれば、細胞の酸化還元状態の破綻が防御されたり、いち早く修復がなされたりします。

認知症の予防としては、「食べ過ぎない」、「適度な運動をする」、「野菜や果物を多く摂取する」、という生活習慣の改善が叫ばれています。

種々の動物実験から、カロリー制限をすると、その最長寿命が延長されて、さらに、生活習慣病、神経変性疾患、ガンなど、さまざまな疾患の発症、進行が抑制されること、が分かってきました。

では、なぜ、カロリー制限や運動が良いのでしょう。

<軽いストレスが命を活性化>
これまでは、カロリー制限の効果として、血糖値が低下して、細胞内のエネルギー産生器官であるミトコンドリアのATP産生が低下し、細胞の酸化をする活性酸素種(ROS: reactive oxygen species)の産生が抑制されるから、と考えられました、が、最近では、カロリー制限は、軽度なストレスとなって、即ち、良い刺激となって、生体が、酸化亢進という悪い環境に立ち向かえる、即ち、生体が持つ適応対応力を高める、と理解されています。

運動をすれば、ミトコンドリアでの、酸素消費・ATP産生が亢進する結果、必然的にROSの産生は増加して、細胞にダメージを与えます。

従って、過度の運動は、生体にとって有害です、が、適度な運動は、血流増加による栄養補給のみならず、軽度な酸化ストレスを生体に与えることとなって、機能蛋白質の発現増大などを導きます。

そして、細胞はより大きな酸化ストレスに対して、抵抗性を得て、準備万端な体制作りが誘導される、というわけです。一粒万倍、備えあれば憂いなし?ですね。

うつ病や自殺者が後を立たない現代社会は、脳の持久力、いや、耐久力と言いましょうか?筋肉以上に求められそうです。

ヘルスケア: カロリー制限で寿命の延長<長寿へは、腹五分、運動、そして、ファイトケミカルズ>
これまでの研究で、認知能力の改善に効果があったものとして、大豆イソフラビン、茶由来のカテキン、ハーブ抽出物、きのこ類、などが報告されています。

最近よく目にする、ファイトケミカルとは、必須栄養素ではありませんが、欠乏すると、病気になりやすくなる、栄養素のことです。

野菜や果物に含まれる植物由来の、それ自体が抗酸化能を持つ、アントシアニンのようなポリフェノール類やカロテノイド類などの成分です。酸化ストレスを緩和する力がありますので、疾患の予防や老化抑制に役立つ、といわれます(上図、参照)。

ストレスと戦うファイト(fight)がある、ファイト(phyto)ケミカルを、日々しっかり取り入れましょう(下図、参照)。
ヘルスケア: カロリー制限で寿命の延長
カナダの砂糖楓から取れるメープルシロップがビタミン、ミネラル、ポリフェノール類が多いとのことです。私は、酸化ストレス予防戦略として、ファイトケミカルが豊富な、アントシアニンの多いブルーベリージャムやメープルシロップを、ヨーグルトに少し掛けることに、しました。

何はともあれ、生体の酸化還元状態をチェックできる、その評価システムを開発することが、一番の予防戦略ですね。

<科学的に対処するには>
細胞は、環境応答への情報伝達をすべく、細胞の酸化還元状態によって、増殖、分化、細胞死、へのルートを決定します。

アルツハイマー病やパーキンソン病の脳では、不可逆的に酸化が進んだ酸化物質が見つかっています。

問題は、脳の神経細胞は、ほぼ全てが分化が終結していて、もう分裂・増殖しないことです。従って、ストレス過多で酸化ダメージを受けると大きな痛手です。

脳は、送られた多量の血液から、栄養成分を得て、精巧に機能しています。その機能の維持のためには、常日頃から、ファイトケミカルや多彩な食品を合わせ摂取することが重要なのです。

自分の血液などを分析して、栄養の取り方や体の酸化ストレス亢進の状態がチェック出来て、数字で記録されたら、どんなに素晴らしいでしょうか。

今後の研究者の役目ですね。しかし、新規技術の創出には、高額な分析機械の購入から始めなければならないのです。

私は、人々が、ストレスや脳機能関連物質の異常をセルフチェック出来る、「脳・アンシン・キット」の開発を目指して、目下、奔走しています。
ヘルスケア: カロリー制限で寿命の延長


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    Posted by 丸山 悦子  at 22:45│Comments(2)長寿健康社会
    この記事へのコメント
    丸山さん、いつもとても意味のあるコメントを頂けて嬉しいです

    ファイトケミカルも興味深く読ませて頂きました
    今度、私も書かせて頂きます
    現在、がん予防として第3の栄養素としてファイトケミカルが研究されています
    論文として発表されている先生もいらっしゃいます
    少し前までは、がん=生野菜と言われていましたが、今は胃腸の事も考えて火を通したほうがいいとか色々と変わってきています
    そして、最近の研究ではがんに関しては標準体重より少し上の人が生存率が高いとも言われています
    それは、抗がん剤治療などでは治療で体重がかなり減ってしまうので体力が減ってしまうからだそうです
    まあ、あまり痩せすぎると駄目ってことかもしれないですね
    何事もほどほどに。という事ですね
    Posted by すももすもも at 2010年11月17日 16:28
    非常に良い情報を共有していただきありがとうございます。それは念入りに取り組んでおり、脳は栄養を得るために大量の血から送信されたことを右されます。
    Posted by キプレス at 2011年05月05日 21:54
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      コメント(2)