たまりば

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2010年10月09日

彼のニオイセンサーは、100万倍!

<ぬいぐるみ?それとも、ホンモノ?>
2kmほど遠くのスーパーまで、ウォーキングを兼ねて買い物に、出かけました。

住宅街でふと首を振ると、庭越しに、ガラス戸の向こうに、大きなこげ茶色のぬいぐるみが??

もしや、本当のセントバーナード? 私は、アッカンベー、ベロベロバー、をしました。が、ビクともしません。
ぬいぐるみ、かぁーーーいや、大き過ぎる?

今一度、確信を得たくて、傍の電信柱に隠れて、ぱっと出てみました。

私は見逃しませんでした、垂れ目の中の大きな眼球が、チョロッと一瞬、動いたのを。

あんな大きな犬が、座れる位の広い家に住みたいな、と思いながら、帰りました。

<誰が決めるの?散歩コース >
それから、一週間ほどたった頃、私は家を出たとたん、固唾を飲みました。

何と、前方に、いつかのセントバーナードが、二人の調教師を連れて??? のっし、のっし、とこちらに来ます。

100kgの巨体に、飛び掛かられたら、ひとたまりもありません。

踝を返そうか、躊躇しました。が、私は、前方をしっかりと見て、他人を装いました。

それでも、通り過ぎる時、彼の顔を横目で、見てみました。

何と、私を、あの優しい瞳が、見ていたのです。

しばらく歩いて、そっと振り返ってみますと、ふっさふっさと、幸せそうに歩いていきました。

どうやってあんな遠くから、この路地まで来たのでしょうか。

私達は、何ごとも、納得したい、似た者同士なのですね。

彼は、救助の仕事がなくても、ガラス越しに道行く人を見ながら、脳の活性化のために、自己啓発をしていた、のだと思います。

私達も、健康のセルフチェックには、余念無きよう、日々を送りたいものです。

<嗅覚の仕組み>
セントバーナードは、その高度な嗅覚に加え、それを記憶する能力が高いので、特にスイスの雪山で救助犬として、役立ってきました。

犬の嗅覚の鋭敏さは、警察犬のみならず、最近ではガンの発見のための診察犬として、訓練がなされています。

ガンだけではありません。疾病では、細胞や組織の代謝様式が異常となりますので、その物質の変化を、犬はニオイセンサーでキャッチ出来るはずなのです。これから、期待される新分野かもしれません。

空気で運ばれるニオイ分子は、鼻孔から鼻腔に入って、粘膜にトラップされます。そして、嗅覚細胞の腺毛受容体に結合して刺激すると、神経線維が電気信号を発生します。

彼のニオイセンサーは、100万倍!図において、ニオイの成分は、鼻孔から鼻腔の嗅上皮の粘膜 → 嗅腺毛の受容体 → 嗅覚細胞の興奮 → 電気的インパルス → 嗅神経線維 → 嗅球  → 大脳 へと情報が伝わります。

五感の中でも、特に動物の嗅覚は、餌取り、縄張り、交尾、と生存の中枢です。

この複雑な情報処理のしくみを明らかにすることは、解析が難しい、高次脳機能の研究に必須です。

良い香りは、大脳辺縁系に働きかけ、楽しく心地よい記憶を引き出します。そして、私達の自律神経は整えられ、リラックスします(図の点線)。

彼のニオイセンサーは、100万倍!では、嫌いなニオイでは、どうでしょう。嗅覚情報と記憶・学習、との関連について、最近、面白い論文が出ています(文献参照)




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    Posted by 丸山 悦子  at 20:39│Comments(7)脳神経生化学
    この記事へのコメント
    丸山さん、セントバーナードは平気ですよ

    大きな犬は基本的にはおおらかな性格です
    まあ、ピットブルや土佐犬にような犬種では無理ですが
    実は、怖いのはチワワのような小型犬です
    ああいった犬は、よく吠えるし噛みます・・・
    これも性格によりますが、小型犬はそういう犬が多いみたいですね
    なので初心者が小型犬を飼うのは、実は進められません
    散歩が楽なだけで、実は大変です
    日本人は犬のしつけをプロにお願いしないので小型犬なら大丈夫と考えて海外の犬種を選びがちだけれど、海外では日本犬のほうが扱いやすいと言われています

    犬でがん発見というのは、最近よく聞きますね
    早く実用化されるといいと思います

    病院にいると、病気が重い人に会うと少し臭います
    病室の臭いも独特な感じがありますね

    今の若い人は味覚・視覚・聴覚・臭覚などが衰えてる人が多いと言われています
    そういうものも幼児期からの訓練によるそうです
    特に視覚の衰えがひどく裸眼の人が少ないと言われています
    その上、大きな音で音楽を聴いているので耳が悪くとっさの判断力が鈍いと言われてました
    文明が進化したのに人間は退化していっているのでしょうか・・・
    不思議なものですね
    Posted by すもも at 2010年10月10日 12:45
    すももさま

    いつもご訪問ありがとうございます。
    豊富な知識を頂き、有りがたく触発されております。

    科学技術が進歩する一方、人間が本来、持っている能力が低下していくことに対して、現代社会におけるリスクとは何か、どのように評価され得るか、生命化学の実験データを基盤とした、統合的な探求が早急に望まれます。

    あの、優しい叔父さん顔のセントバーナード君にはせっかく、うちまで来てくれたのに、「美味しいコーヒーでも」と言えなかった事が悔やまれました。
    Posted by まるやま at 2010年10月10日 20:06
    今日、ふと思い出したことがあります

    日本人には体臭がない人がほとんどで耳垢が乾いているという事でした
    耳垢が「カサカサ」なのは、実は日本人独特のもので海外ではいない突然変異体質らしいですよ
    日本人で耳垢が湿っている人は全体の2割ほど。
    その中で、わきが体質といわれる人は限られていて、日本人ほど体臭がない国民はいないそうです
    つまり、日本人は臭いを捨てた民族らしいです
    これは遺伝学的にみても興味深いらしく海外では遺伝子研究しているそうです
    暖房や冷房が効いている部屋で、体臭がきつい人がいるとやはり大変らしく海外でも体臭は困り者らしいです
    そんな中で日本人の体臭のなさが研究されているそうです
    日本人は、地理的にみてもここから(日本から)移動する事の無い民族だったのが何か関係しているんでしょうか?

    不思議だなって思ったので書いてみました

    あと、私の友人で湿った耳垢の友達が言ってましたが、彼女の臭いを嗅ぐと飼い猫が「またたび」と同じ反応をするそうです
    これも興味深い。。。
    Posted by すもも at 2010年10月13日 18:02
    またたびの化学物質は同定されていて、それは、ほとんどの猫科を喜こばすのですね。

    体臭の強い外国人が、何かの動物に好かれる、と言う話があるか興味があります。

    無臭人間にするなら、ニオイ物質を壊すか、受容体を壊すかーー出来ないことは、無さそうね。

    ひとりひとり、一匹一匹が、微妙に異なった受容体を持っていて(異なった分子を放出する)、大脳辺縁系で異なった快感を得る、となるのが、人と違う私、ということになるのかしら。

    好き、と思うこと、脳が快感を感じる、ことが一致すれば、まさにハッピーなのかもーーそれとも脳が快感を感じることが、好き、ということ?
    Posted by まるやま at 2010年10月14日 20:33
    匂いが記憶を司っていると聞いたことがあります
    匂いを嗅ぐと昔の記憶を思い出したりする
    つまり、脳と匂いは密接な関係にあるのは間違いないですね
    面白いですよね

    あと、匂いが好きな人って好きになると思いますよ

    女の人は遺伝子的に優性のものを選ぶって聞いたことがありますが
    匂いでもあったと思います
    自分と違う匂いだったかな?同じ匂い??
    どっちだったんだろう?知りませんか??
    Posted by すももすもも at 2010年10月15日 18:04
    <ニオイと個体の遺伝子型>
    私も昔、女性は父親のニオイに似た人を選ぶとかーー聞いたことがあります。

    免疫関連のHLA遺伝子が微妙に人によって違っており、それが匂いの違い、ということらしいですね。

    以下の文献でも男性の汗のニオイを嗅がせて、遺伝子型との相関を調べています。
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15777804

    この手の仕事では、女子寄宿舎でのホルモン周期など、聞いたことがありますが、私としては、ニオイの分子実体を決め手から解析したいですね。
    Posted by 丸山 悦子 丸山 悦子  at 2010年10月15日 23:54
    コメント欄を見るのを忘れ、コメント今日もゼロ、今日もゼロと落ち込んでいたシンシアです。
    杉並区の講演会関係で団体を作らなくてはいけなくなりました。
    場所を借りるためのものです。
    区民が3分の2人入って5人以上だとか。
    篠原さんにおねがいしたのですが、丸山さんにもおねがいしてよろしいでしょうか。
    Posted by シンシアシンシア at 2010年10月16日 05:18
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    彼のニオイセンサーは、100万倍!
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